0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ストロベリーナイト」

ストロベリーナイト DVDスタンダード・エディションストロベリーナイト DVDスタンダード・エディション
(2013/07/17)
竹内結子、西島秀俊 他

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佐藤佑市「ストロベリーナイト」再見、

ヤクザの組員が殺される連続殺人事件が起き、姫川=竹内結子の捜査一課と組対四課などが合同で捜査することになるが、捜査方針を巡っていきなり対立し出す。

だが竹内は犯人の名を告げるタレコミ電話を受けてそれを調べようとするが、そこには警察の過去の隠蔽に関連する闇があった。

その件に触れるなと上司全員から言われても納得出来ない竹内は、部下にも秘密にして単独である若者を追うが、そこで事件に関係している組のヤクザとは知らずに大沢たかおと知り合う。




テレビシリーズの劇場版。

ドラマの方は竹内結子=姫川班のメンバーのキャラをそれぞれ立たせて群像劇としての刑事ドラマになっているが、こちらは竹内の部下の刑事はあくまで脇役でしかなく、脇役のキャラがあまり立っておらずに、ひたすら竹内結子とヤクザの大沢たかおに焦点が合っている描き方になっている。

だが姫川=竹内の女の部分と過去の血なまぐさいトラウマに関しての掘り下げはテレビシリーズ以上の映画ならではのものになっていて、過去に親絡みのことで人を殺している大沢と、疑惑の若者で、父と姉が近親相姦の関係で姉が殺され、容疑者の父が目の前で自殺した染谷将太、そして竹内の、過去に地獄を見てきた者たちがトラウマで繋がっていくところや、刑事の竹内がヤクザの大沢とこの血なまぐさいトラウマから性交にまで至る展開となるところなど中々いい。

警察の隠蔽された暗部だとか殺人事件とヤクザ内部の抗争の絡みだとか、最後に発覚する真犯人像などにはあんまり新味がなくありがちなものだが、竹内=姫川の女の性の部分とトラウマの闇の部分をクロスして、わりと露骨に描いたところはやはりいい。

それにそのトラウマと向き合った竹内が、数年前から単館系映画などでよく作られているトラウマ話のように、何でもトラウマトラウマ言って被害者ぶってれば多目に見てもらえると思ってるような被害者意識押し売りビジネスのような低劣なまとめ方にはなっておらず、血なまぐさいトラウマと向き合いそれを忘れないために血の色の赤い高価なバッグを買ったという決意まで描かれ、ここには鈴木則文「恐怖女子高校 女暴力教室」の杉本美樹すら想起させる。

この辺りは単館系映画によくある、トラウマに対して妙に感傷的な捉え方に終始する短絡になっていない秀逸さがあり、テレビ局製作のメジャー系の方がちゃんとやってるじゃねーかと思わせる。

刑事映画やサスペンスミステリ映画としてはまあまあだが、出色なところもある一篇。
2014/04/13(日) 13:42:49 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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