0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「棒つきキャンディー」

酒井麻衣「棒つきキャンディー」、

少年漫画家として売れた女性漫画家は高校生を題材とした漫画原稿を新しい男性編集者に渡すが、手直しを言われる。

漫画の中の世界について両者で意見を言い合うことになるが、女性漫画家にはこの漫画の世界にあるこだわりがあった。





漫画家と編集者の議論と漫画の虚構の世界が交錯する構成で描かれた映画。

しかし漫画の世界が完全に虚構かというとどうもそうではないようで、終盤になるとこの女性漫画家と編集者は漫画の中の高校生の男女の気持ちを話しているというより、自分たち男と女の気持ちのスレ違いを話し合っているかのように描かれていく。

結局漫画の中の甘酸っぱい男女の青春的な恋愛感情は女性漫画家と編集者の間にあるものであり、漫画を語り合うことでこの男女はスレ違っていた溝を埋める。

その辺りの甘酸っぱさと大人になってからそこで残った問題に決着をつけることをクロスして描くことで、高校生の甘酸っぱい青春世界も大人になってから過去に答えを出す現実にもリアルな叙情が立ち昇ってきて中々巧い描写になっている。

高校生の甘酸っぱい青春世界にある思いと大人になってから過去に答えを出す者たちの思いが同じ切実さで最後にクロスするところは秀逸ですらある。

構成の巧さも中々出色な一篇。


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2014/03/21(金) 13:20:12 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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