0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「イヌミチ」

万田邦敏「イヌミチ」、

永山由里恵は編集者として仕事に疲れていたが、ある時犬のような目をした男・矢野昌幸と出会う。

その後永山は犬になり、矢野はその飼い主となって、二人は男女で性的関係にもならず、あくまで犬と飼い主として一緒に暮らし始めるが。






万田邦敏5年ぶりの作品。

題材からしてこの手は永森裕二や亀井亨がよくやってきた異色の恋愛悲喜劇を想起させるが、しかしながら万田監督は随分若々しい演出を見せており、まるで若手の新人監督の作品のような瑞々しいテイストで描かれた映画になっている。

それでいて同時に渇いた諦念の叙情が深々と感じられ、実はにっかつと言うより日活ロマンポルノに近い感じがする作品になっている。

と思ったらラストは見事に日活ロマンポルノテイストで終わっていき、全体の演出にも映画としての魅惑がちゃんとある作品になっている。

後半、それまで犬になりきっていたヒロインが急に人間に戻るシーンの倦怠と諦念に渇いた情念が溢れ、飼い主となった矢野の方にも渇いた吐息の中に感慨深い叙情が感じられ、コミカルだったり異様だったりするシーンが連続するわりに、中々情緒豊かな叙情が随所に明滅するその案配が秀逸である。

ラストもこれでカタがついたという風ではなく、永山にも矢野にも苦闘の静かな情感が感じられる。

永山由里恵と矢野昌幸は実にいい味わいで好演している。

ドラマ自体の異色な面白さと、映画としての魅惑が微妙にクロスしている中々の佳作な一篇。


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2014/03/14(金) 13:43:24 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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