0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「そして鬼になる」

田代尚也「そして鬼になる」、

衣緒菜は処女で鬼だったが、付き合ったろくでなしのクズ男が残していった子供を自分と違う人間=生物だと思いつつも一緒に暮らしていたが虐待してしまう。

だが子供が鬼になったのでこの子を鬼にしてはいけないと思い、ちゃんとした母親になろうとするが、児童相談所の女が来たり出ていったはずのクズ男が戻ってきたため子供を守ろうとする。




ホラー映画風味の母子映画。
タイトルは「そして父になる」にちなんだものだろう。

田代尚也は短い上映時間の中で蛇行した展開の妙を描くのがかなり巧いが、この映画もそんな展開の面白さとそこから行き着く結末に中々意味深なものがある映画になっている。

途中までは頭のおかしい残酷な鬼女の児童虐待が酷いばかりの映画かと思わすが、自分のような鬼に子供をしたくないと衣緒菜が思い出してから母親に目覚める。

それでも児童相談所の女・倖田李梨を殺してしまうのは解せず、母親が子供を守ると言ったって相手だって子供を守りに来てるわけだから頭がおかしいのかと思わすが、鬼以上に鬼畜な詐欺師じみた人間のクズ男を叩きのめして鬼女が母として子供を守って生きていこうとして終わっていくところに、なんとなく加藤泰の「みな殺しの霊歌」の切実な精神性すら感じられ、結局中々感慨深い味わいの映画になっている。

ピンク映画系のスタッフや役者が参加しているが、スプラッタホラーと独特の情緒が展開の妙に絡まって描かれている佳作な一篇。


あの頃映画 「みな殺しの霊歌」 [DVD]あの頃映画 「みな殺しの霊歌」 [DVD]
(2012/02/22)
佐藤允、倍賞千恵子 他

詳細を見る


そして父になる DVDスタンダード・エディションそして父になる DVDスタンダード・エディション
(2014/04/23)
福山雅治 他

詳細を見る
2014/03/04(火) 13:45:32 その他 トラックバック:0 コメント(-)

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://shoheinarumi.blog18.fc2.com/tb.php/1488-bf532be5