0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「審判」

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(2007/09/13)
アンソニー・パーキンス.ジャンヌ・モロー.ロミー・シュナイダー.エルザ・マルティネッリ

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オーソン・ウェルズ「審判」再見、

ある朝アンソニー・パーキンスは身に覚えのない罪で逮捕される。

そこから不条理な事態に巻き込まれていく。



フランツ・カフカの不条理小説をオーソン・ウェルズが映画化した作品。

カフカをうまく映画化したという言い方も別に間違いではないし、よくこんな不可思議な原作をここまでの映画に仕上げたなとも言えるが、何よりカフカとオーソン・ウェルズのコラボという事態の異様さと凄さが映画に出ていることが最も素晴らしい。

ウェルズの映画的不気味さとその才気がカフカの不条理の不気味をウェルズ的に増幅させていることの異様さが実に出色な映画である。

アンソニー・パーキンスは不条理な事態に追い回されていく役にぴったりだし、少しだけ出てくるジャンヌ・モローもロミー・シュナイダーも実にいい味だが、オーソン・ウェルズ自身も見事な存在感を出して出演している。

モノクロ画像で映し出される集合住宅群の無機質で殺伐とした光景の中、特にパーキンスが狂ったような子供たちの集団に追い回されるシーンの異様さはこの映画の最大の魅力だと思う。

こういうシーンを見ていると生前の寺山修司がもしカフカを映画化していたらどのような奇妙なコラボレーションや映像世界を実現しただろうかを想像してしまう。

オーソン・ウェルズ映画にあるノワール映画の暗黒をさらなる不穏な暗闇に染め上げたような映像センスがカフカの原作を実に独特の世界に昇華してしまっているのは見事に圧巻である。

なんともカフカとオーソン・ウェルズの結合が何より決定的に思える素晴らしき一篇。
2014/02/23(日) 13:42:02 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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