0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ゴダールの探偵」

ゴダールの探偵 [DVD]ゴダールの探偵 [DVD]
(2006/09/29)
ロラン・テルジェフ、オレール・ドアザン 他

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ジャン・リュック・ゴダール「ゴダールの探偵」再見、

過去に殺人事件があったホテルにて探偵が捜索をするが、そこに集まった様々な金や色が絡んだ人々の人間模様が交錯していく。





ゴダールのミステリー風設定の映画。

しかし推理ミステリ映画でもなんでもなく、それどころか人間ドラマとしても明確には描かれておらず、殺人事件があったホテルに様々な人々が集まり交錯する人間模様というのを「グランドホテル」を想起させながら映画的かつ俯瞰的に捉え、ノワール的な設定の中の人々の葛藤の瞬間、瞬間を映し出していく映画といった感じである。

映画全体が光と影の美学というより、影の映画的魅惑に溢れた映像&被写界深度の浅い画像で撮られていて、「ゴダールのマリア」共々この時期のゴダール独特の影の映像&被写界深度の浅い画像は実に素晴らしい。

ゴダール映画らしくお話はあんまり繋がらず、物語的緊密さはないが、それでも深い情感に満ちた映画的なシーンが稀に見るほど叙情的に決まったかと思うと、機械装置の作動のようなシーンやジャン・ピエール・レオーのコミカルなテイストの演技やノワール的なシーンなどなどが様々交錯していき、各シーンシーンが実に深い味わいで決まっているので、映画としての濃厚さが十分感じられる作品になっている。

ナタリー・バイ、ジョニー・アリディの生々しくも渋い叙情的な魅力も十分捉えられていて、映画としての魅力がかなり濃い、80年代ゴダールの独特の影の叙情映像&被写界深度の浅い画像時代のテイストが見事に秀逸な一篇。
2014/01/21(火) 13:33:44 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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