0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「猫が行方不明」

猫が行方不明 HDニューマスター版 [DVD]猫が行方不明 HDニューマスター版 [DVD]
(2010/03/27)
ギャランス・クラヴェル、ジヌディーヌ・スアレム 他

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セドリック・クラピッシュ「猫が行方不明」再見、

パリに住むメークアップアーティストは猫を飼っていたが、長いバカンスに出るため愛猫を猫好きのマダムに預けて旅立つも帰ってきてみると猫が行方不明になっていた。

猫を探し始めるとそれまでは関係が希薄だった近所の人々が猫探しに協力してくれるようになる。




パリを舞台にした猫探しの軽妙コメディのような映画。

映像のタッチが岩井俊二っぽいが、映画自体はわりと面白おかしく進んでいく。

一応テーマとしてはそれまで人間関係が希薄だったパリの街の住民が猫探しを期に繋がりだすというものがあるだろうし、それをそうエスプリが利いたというほどでもないが、パリ風人情喜劇にしているところはある。

だがこの映画は、実はその人々が繋がりだすところではなく、パリの街で生きている人々の孤独な後ろ姿をドキュメンタリー的なまでの余韻を残して撮り得ているところが一番出色である。

一応バラバラだったパリの住民がコミュニケーションを取るようになり繋がっていく映画のようにも見えるが、しかし本当はそう単純ではなく、猫探しというイベントor宴が終われば、人々はまたパリの街で孤独に生きていくだけだという都会の宴の儚さの気配がそこはかとなく漂ったまま終わっていくところがある。

一見猫探しのコミカルな映画とパリの街の人々のコミュニケーションを描いているようで、実はパリの住民の猫無しでは生きられない孤独な相貌を映し出しているところが秀逸な映画である。

正直、猫探しのコミカル喜劇映画としてはそう面白いとも思わないし、岩井俊二っぽい映像だってそれほど瞠目するほどのものとも思えないのだが、パリという都市の無意識の孤独感が、何気なく長めに編集された映像に映っているところが出色だと思う一篇。
2014/01/07(火) 13:44:34 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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