0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ゴングなき戦い」

ジョン・ヒューストン「ゴングなき戦い」再見、

ステーシー・キーチは元ボクサーだったが、ある日若者ジェフ・ブリッジスにボクサーとしての才能を感じ、ジェフをボクサーにして試合に挑むが負けがこんでいく。

中々勝てないジェフは彼女と結婚するが、ステーシーは酒に溺れていく。




ジョン・ヒューストンの実に繊細な味わいのボクシング映画。

くすんだ鈍いリアル感溢れる世界が映し出される中で、元はボクサーでもあったジョン・ヒューストンが負け試合で苦闘する栄光から遠いボクサーの人生を感傷的にではなく、あくまで痛ましい哀感と叙情を漂わせて描きあげている実に秀逸な映画である。

ステーシー・キーチもジェフ・ブリッジスもいい味を出している。

どこか70年代のヴィム・ベンダースの「さすらい」「まわり道」「ことの次第」などのテイストすら感じさせる映画っぽさがあり、映画的濃度がとても高い作品である。

全体に漂うスポーツ映画とは思えないほどの物憂いテイストがそのままこの映画そのものの魅力になっていて、その寂しくも哀感に満ちた情緒がなんとも感慨深い映画である。

どこか正しきアメリカ映画と言いたくなる得難い秀作の一篇。


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2014/01/03(金) 14:02:06 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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