0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「相棒シリーズ XDAY」

相棒シリーズ X DAY [DVD]相棒シリーズ X DAY [DVD]
(2013/11/02)
田中圭、川原和久 他

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橋本一「相棒シリーズ XDAY」再見、

ある時銀行システム部の男が墜落死しているのが発見され現場には燃えカスの札束が残されていた。

捜査一課の伊丹刑事=川原和久は殺人事件として捜査するがそこでサイバー犯罪対策課の田中圭と出会う。

部署の違いからくるズレから二人はいがみ合いながら捜査することになるが、被害者は謎のデータをネットに流しており、そのことを探索していくと国家規模の隠蔽の影が見えてくる。

警察幹部から捜査の中止を告げられながらも伊丹は捜査を続行するが。





「相棒」シリーズの、伊丹刑事=川原和久を主役にしたスピンオフの劇場版。

土曜ワイド劇場でやっていたシリーズの最初から出ている伊丹=川原は全くテレビシリーズの時と主役になってからも感じが変わらず、特命係といつもやっているやり取りを相棒役の田中とやっているだけなのでまるで遜色なく見られる。

つまらない気負いもなくそこは中々いい。

橋本一のキビキビしたタッチもわりとよくて、杉下右京=水谷豊も大事な役割でゲスト的に出てくるし、元相棒及川光博もゲストで出ている。

その他レギュラーメンバーもいい味で出ていて嬉しい。

さすが「相棒」テレビシリーズでも名作「ボーダーライン」他の社会派的脚本の傑作をいくつも書いている桜井武晴脚本作だから、アベノミクス以降の日本に対するシニカルな視点がリアルっぽく描かれていて、社会派刑事映画としても意味深な内容になっている。

刑事の捜査の描写と社会派的な闇の絡ませ方が相変わらず巧くて、バラバラな事象がだんだん繋がっていく「相棒」お得意の展開もキッチリやっている。

ただ日本のXDAYという近未来的な危惧に関して、国債暴落の危機話が「複雑な真実に目を向けよ」と訴えているわりに少し短絡な解釈にすぎる感はある。

勿論これからの未来にアベノミクスと世界経済の錯綜からこれに近い事態になる可能性が全くないことはないだろう。

しかし国債を大量に発行してそれを日銀が買い取る手法を行っていると思うのだが、それでこういう状況になるというのはちょっと考えにくいところもある。

寧ろ今の現状から考えるに、政府のグローバルな政策や新自由主義的な政策を小泉政権時の失敗を反省せずに強行した場合にこうなる可能性もあると思えるので、その点では国家的隠蔽と謀略の内幕の描写がちょっとあっさりし過ぎているようにも思える。

とは言え刑事映画でここまでアベノミクスのリアルな闇(になるかもしれない部分)に踏み込んでいる作品もそう多くはないので、これはこれで頑張っている作品だと思う。

伊丹刑事=川原和久もいつも通りでありつつもキッチリ主役の風格で好演しているし、「相棒」好きとしても中々楽しめる一篇。

2013/12/24(火) 13:20:32 東映 トラックバック:0 コメント(-)

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