0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「1990牡丹灯籠」

1990牡丹燈籠 [VHS]1990牡丹燈籠 [VHS]
(1990/11/01)
杉本哲太、青山知可子 他

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磯村一路「1990牡丹灯籠」再見、

今はロックバンドのマネージャーをしている杉本哲太はかってはロッカーだった。

ある時妖しい感じの青山知可子と会い一夜を共にするが、実は青山は、杉本がまだロッカーだった頃に恋仲になりながら、駆け落ちの約束を破ってしまった女そっくりだった。

再会を喜ぶ杉本だったが、青山はすでに死んでいたことを知ることになる。

だが、この世のものではすでにない青山と、相思相愛になってしまった杉本は、青山に取り憑かれたようになっていく。







牡丹灯籠の現代版的作品。

筋から言えばまあそういうことになるが、しかしピンク映画時代からの磯村作品の男女の設定も、死にかかっているような女とそれを見守る優しい男を描いたものが多いので、これはまあ確かに牡丹灯籠の現代版だろうが、同時に、実に磯村映画らしい男女を描いた映画とも言える。

まだ横浜銀蝿の子分的な頃から数年経ってるだけの時期なので、杉本哲太も元ロッカー役には無理なく似合い、青山知可子も妖しい幽霊の役どころによく合っている。

少々牡丹灯籠を意識せざるを得ない企画ものだからか、磯村映画特有の繊細なメロウさがその分よく出ている映画とは言い難いものになっているが、青山の幽霊の終盤の優しい気遣いと、それを知った杉本の顛末などはいかにも磯村映画的である。

また、磯村らしい無機質な都会的センスも少々出ているが、牡丹灯籠という磯村映画の男女の設定と類似性のある題材の、その共通性に引っ張られすぎて、イマイチ磯村映画のメロウ感が薄れたところは惜しい。

しかしそれでもそう悪くない一篇。

2013/12/22(日) 13:45:50 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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