0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「パーマネント野ばら」

パーマネント野ばら [DVD]パーマネント野ばら [DVD]
(2011/01/07)
菅野美穂

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吉田大八「パーマネント野ばら」再見、

菅野美穂は子供を抱えて実家の田舎町の美容院「パーマネント野ばら」に身を寄せていた。

美容院は町の溜まり場のようになっていて、かなりフランクすぎる開けっぴろげな交流がそこでは行われ、濃い個性の人たちが色々いた。

菅野の友人の池脇千鶴も小池栄子も男運が悪く、ヒモや暴力男と付き合っていたが、菅野は江口洋介の掴みどころのない男に惹かれていた。




西原理恵子の原作を映画化した作品。

確かに西原作品らしく濃い個性のどうしようもない人間が一杯出てきて、それがやたらとヤバヤバな人生を田舎でやりながら剥き出しで生きている姿はコミカルに描かれているし、滅茶苦茶で濃い個性の人間たちの中で一番まともに見える菅野美穂が実は一番大きな問題を抱えていたという後半の捻りも悪くない。

しかし菅野の異常が発覚するとそれまで剥き出しでデタラメなことをやっていた人たちが妙に菅野のことを心からさり気なく思いやり、この映画はそういう何気ない優しさが魅力の映画なように描かれているのだが、そこにどうにも矛盾を感じるのである。

だって菅野が何故一番まともそうに見えて一番異常かと言えば、彼女は結局こんな開けっぴろげな田舎で孤立しているからじゃないのか。

結局菅野だけが開けっぴろげに剥き出しの人間関係を出来ず、自分の本心を周りにわかってもらえずに、妙に気を使った優しさで距離を取られているから異常なままなんじゃないのかと思えるのである。

確かにこの菅野の異常さをそっとしておいてやるのも人情だと思う。

しかし一見映画の中の優しいさり気ない人情描写に見える部分が、実はそんなさり気ない優しさに包まれて距離を取られているが故に菅野は結局無意識レベルで孤立したままで、異常なまま生きていなくちゃならないんじゃないのかとも思えて、そこに妙に矛盾したものを感じるのである。

そんな感じなのに、ただ田舎の剥き出しで開けっぴろげだけど優しいさり気ない人情を描いた群像劇だなんて言って賞賛してていいのか?そんなのあざとい偽善じゃないのかと思えてくるのである。

そういう意味ではなんとも腑に落ちない一篇。

2013/12/01(日) 14:04:55 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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