0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「梟の城」

梟の城 [DVD]梟の城 [DVD]
(2005/03/02)
中井貴一、鶴田真由 他

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篠田正浩「梟の城」再見、

中井貴一の伊賀忍者は織田信長の伊賀の乱における侵攻の仇を討とうと陰棲していたが信長は死に、生きる希望を失っていた。

しかしある時太閤秀吉暗殺の命を受け動き出すが一人の女と情を通じるも、それは中井を見張るクノイチだった。





篠田正浩による忍者時代劇。

80年代以降は妙に大味だったり綺麗ごとのような映画ばかり撮るようになり、かっての松竹ヌーベルバーグ時代の冴えがなくなってしまった篠田正浩だが、このような政治がらみの忍者時代劇なら昔の勘を取り戻すかと期待して封切り時に見に行ったが、やっぱりダメだったことで落胆した覚えがある映画である。

まあ確かに日本映画としては出来るだけダイナミックに忍者の活劇シーンを撮ろうとしているのはわかるが、なんだか通り一辺の技術に頼ったようなシーンばかりだし、かっての篠田らしい内実への凝りようや問題意識はあんまり出ていない。

それまでの80年代以降の作品や引退作「スパイゾルゲ」よりは多少マシだが、しかし住時の篠田作品の魅力にはほど遠い出来である。

確かに時代は違うがそれにしたってこれは篠田にはうってつけの題材だと思うが、娯楽映画にすることと自身の映画にすることの間で揺れていたのか、どうも中途半端な感じがする映画である。

松竹ヌーベルバーグの作家は大島渚も吉田喜重も苦労しながら老境に至っても自身の作家性を貫徹しているのに、その中では一番易々とメジャー系で映画を撮り続けていた篠田正浩が最も精彩を欠いた映画ばかり連発しており、結局最後まで作品的にはレベルを下げたまま引退してしまった。

大島が大病しながらも監督復帰を夢見、吉田が21世紀になってから「鏡の女たち」のような驚嘆すべき大傑作を撮っているのに、やはり篠田はメジャーに迎合しすぎてどんどん劣化してしまった感がある。

正直80年代に横溝正史原作の駄作映画「悪霊島」の体たらくを見た時にもかなり落胆したが結局篠田はメジャー迎合が祟ってか最後まで最盛期の才気を復活させることなくどんどん劣化して終わった感じである。

この映画は劣化傾向の篠田作品の中ではまだマシな方だが、それでもいい出来とはとても言い難い一篇。

2013/11/15(金) 14:03:49 松竹 トラックバック:0 コメント(-)

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