0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「野獣刑事」

野獣刑事 [DVD]野獣刑事 [DVD]
(2009/03/21)
緒形拳、いしだあゆみ 他

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 工藤栄一「野獣刑事」再見、

 緒形拳はマスコミに警察情報を流したり不良なとこのある刑事だった。

 ある事件で逮捕した泉谷しげるの情婦、いしだあゆみと暮らしていたがいしだの子供は緒形に懐かなかった。

 その後ある事件でやりすぎな捜査をしたりしていたが、緒形は出所した泉谷といしだを挟んで奇妙な友情関係になる。

 だが泉谷はまた麻薬に手を出し緒形は泉谷を追うためいしだにおとり捜査を頼む。






 工藤栄一映画の魅力に溢れた作品。

 内容は東映プログラムピクチャーの荒っぽい刑事活劇だが、それを工藤栄一独特のブルージーさで描いた情緒あるドラマにしている。
 
 しかしそれだけでなく、工藤栄一らしい光と影の映像感がよく出ている上に触覚的なショットセンスが絶えず映画的な繊細さを感じさせるものになっていて、その映像描写の映画的濃厚さはかなりのものである。

 荒くれたプログラムピクチャーの刑事アクションをこのような映画的繊細さで描いているからこそブルージーな情緒溢れるドラマも成立したのだろうと思えるほど、その映画としての繊細さはジャック・ドワイヨンの傑作「ラ・ピラート」を想起させるほどである。

 緒形拳の野獣刑事だけでなくいしだあゆみも泉谷しげるも皆適役で好演しており充実した出来である。

 「必殺」シリーズや集団時代劇で独特の光と影の美学を見せてきた工藤栄一だが、それを現代活劇でも過不足なく見せている秀逸な一篇。

2013/10/06(日) 13:59:59 東映 トラックバック:0 コメント(-)

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