0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「のど自慢」

のど自慢 [DVD]のど自慢 [DVD]
(2003/08/20)
室井滋、大友康平 他

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 井筒和幸「のど自慢」再見、

日曜お昼の「のど自慢」が群馬県のある町にやって来る。

売れない演歌歌手・室井滋は自信を取り戻そうと参加する。

 その他人生何やってもだめな男は唯一誇れる歌を披露しようと参加する。

 また地元の女子高生はこの場を借りて家族に伝えられない想いを伝えようとしていた。



 

 井筒和幸の人情喜劇映画。

 そもそも「のど自慢」なんかに人生を賭けているという設定が無理だろと最初は思わせるし、ベタな喜劇展開もありがちなものなので掴みがいいとは言えない映画だが、映画が進むにつれて人情味溢れるドラマが展開し、人生うまくいかない人間の哀愁がそこはかとなく漂っていく。

 それによって追い詰められ、人生ダメダメな人間たちが、「のど自慢」という有名ではあるがヌルイ小さな舞台にしかもう人生を賭けられない悲しさと儚さが徐々に明確になっていく。

 そんな寂しい舞台のステージ裏でのうまくいかない人間たちのちょっとしたあたたかい交流やダメな者同士お互いを心で理解し合う描写がとてもよく、この映画を見始めた時とはまるで違う印象を持ってしまうほどの秀作映画に成り変わっていく。

 井筒はこういう題材がうまいと言えばうまいが、それでもいつも成功しているわけではない。
 それに井筒は今でこそ元気で威勢がいいが、一時期は人生絶望のどん底を味わった人である。

 そんな人のリアルな実感が感じられるところもある。

 一見ベタな企画もの的喜劇映画の風貌ではあるが、その実ピンク映画の傑作に近いよく出来た人間ドラマの秀作になっている。

 印象的にポスターの感じなどで損をしている映画ではあるが、中々よく出来た一篇。

  2013/10/01(火) 13:50:42 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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