0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ときめきに死す」

 
ときめきに死す [DVD]ときめきに死す [DVD]
(2001/11/22)
沢田研二、樋口可南子 他

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 森田芳光「ときめきに死す」再見、

 ある組織から大金積まれて杉浦直樹の歌舞伎町の医師は沢田研二の世話を北海道の田舎町でするよう頼まれる。

 酒タバコもやらないでひたすらトレーニングだけしている奇妙な沢田と杉浦の二人の生活が始まるが、そこに組織から樋口可南子が派遣される。

 しかし沢田は樋口にも興味がなく逆に樋口の方が沢田を気にし出す。

 沢田は実はテロリストとして、組織のコンピューターがターゲットとして指定した人物を殺すことになっていたがそれは組織の会長だった。







 森田芳光商業映画・初期の作品。

 まだ「家族ゲーム」などで日本映画のニューウェイブのように言われていた頃の作品で、森田の無機質な社会風刺的テクノ映像が顕著に強調されている。

 コンピューターが支配する近未来というものはこの後本当にやってきたのだから、この映画の虚無的で皮肉に満ちた無機質テイストはモロにリアルなものだと今言えるが、この映画の頃はまだアナログな世の中も随分残っていたので森田は過度な無機的な強調を映像にもセットにも芝居や演出にも露骨に施しているが、それが映画の独特さを高めている。

 芸達者が揃っているので独特の無機的緊張感テイストの中、芝居にも緊迫した感じが出ていて映画自体充実したものになっている。

 元々は丸山健二の原作のこの映画の映画化権を内田裕也が持っていて、沢田の役をアル・パチーノがやり内田が杉浦の医師役をやる予定もあったが、沢田研二が原作を気に入っていたので内田は沢田にこの原作の映画化を譲ったらしいが、アル・パチーノと内田裕也共演の「ときめきに死す」なんてバージョンも見たかったものである。

 独特の森田芳光的無機質テイスト故に奇妙な緊張感が映画に静かに漲っているところが特に秀逸な一篇。
2013/09/20(金) 13:37:21 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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