0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「GONIN」

 
GONIN [DVD]GONIN [DVD]
(2007/03/28)
佐藤浩市、本木雅弘 他

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 石井隆「GONIN」再見、

 借金まみれのディスコのオーナー佐藤浩市は金に困っていた。

 そこで男相手のコールボーイ・本木雅弘、元刑事で裏社会と通じている根津甚八、リストラされたサラリーマンの竹中直人、パンチドランカーの元ボクサー椎名桔平ら社会からはみ出した5人で暴力団の大金を強奪する計画を立て実行し成功する。

 しかし佐藤らが盗んだことを知った暴力団は、ヒットマンのビートたけしらを雇って報復しようとする。




 

 石井隆のクライムノワール活劇映画。

 この時期はこの手の犯罪映画が流行りだったのもあったが、中々秀逸なキャストで描かれた映画である。

 ちょっと全体的にもうちょっと迫力とテンポのよさや緊迫感があるといいなとは思うが、それでもビートたけしが自分が監督する映画でも見せる非情な相貌をこのヒットマン役でも見せているし、石井隆独特の陰影に富んだ光と影の映像が犯罪映画のテイストを生々しく際立たせている。

 5人の犯罪者が過剰に演技しすぎるほどに空回りしているところがなくはないが(特に竹中直人)、それでもそれゆえに切迫した人間関係は描かれている。

 後半ヤクザに追い詰められギリギリで逃亡する深夜バスで、日本の演歌を不意に聞くシーンに石井隆映画独特の日本人の感覚が出ているが、こういうシーンを見るとジョン・ウーが香港で撮っていた犯罪映画の中の情緒を想起させ、それを石井隆的に独特の日本人感として描出しているところに中々いい味わいが出ている。

 ヒットマンのたけしには迫力があっても暴力団側の描写が弱かったりと色々綻びもある映画だが、それでもこういう映画を日本で実現したいという熱気が強く顕れており、そういう作り手の思い入れが感じられる映画である。

 力みすぎて空回りしているところもあるが、それでも映画自体に独特の熱気がある一篇。


2013/09/03(火) 14:10:06 松竹 トラックバック:0 コメント(-)

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