0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「僕らはみんな生きている」

 
僕らはみんな生きている [DVD]僕らはみんな生きている [DVD]
(2005/11/25)
真田広之、山崎努 他

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 滝田洋二郎「僕らはみんな生きている」再見、

 技術屋のサラリーマン真田広之は橋建設プロジェクトのため、東南アジアのトルキスタンに行くが、そこで他社の社員とも一緒になり、国の軍事政権の大佐のパーティーに出席するも、クーデターが起きて真田らサラリーマンたちは林の中に逃げ込み異様な生活することになる。


 
 

 漫画原作を映画化した作品。

 一色伸幸脚本作だからか、終始日本のサラリーマンを風刺的に皮肉な描写で描き、異常事態に遭遇した真田らサラリーマンをシニカルな笑いを交えて描いているが、結局一色作品らしく、最後はそんなダサくて世界では平和ボケのヌルい奴らと思われてる日本人が、平和な先進国を作るために、いかなる忍耐と、ダサさにもめげない努力でもって平和な国を作ってきたかという日本人肯定のような形で終わる。

 この図式はその後デフレの真っ只中に日本が落ちた時、そんな日本人だから不況状況においてもだらしない生き方しか出来ないんじゃないのか・・・という風に否定的に解釈されるようになったところがあった気がしたし、その頃は一色自体も低迷期に入っていた。

 しかし震災後、日本人のマナーのよさが世界で賞賛されたり、日本人が一丸となって震災後の世界や不況状況を乗り越えようとして今のアベノミクス時代に入ってくると、また時代が一回りして、この映画のラストの日本人肯定に意味があるように見えてくるところがある。

 名優たちがアジアの自然の中でクーデターに遭遇したため生活する姿も、今や世界中でクーデターが起こってるから絵空事ではないが、そんな時代の日本人肯定の仕方としては多少今でも有効な部分が感じられる。

 一色伸幸も紆余屈折を経て、作風変えて先頃復活しているが、この映画は「テルマエ ロマエ」のように日本人を喜ばせる日本賛の映画ではなく、寧ろかなり批判的に日本人をシニカルにとことん風刺しながら、それでもそんな日本人だからこそ平和な国を築けたと肯定する映画になっている。

 滝田洋二郎作品としての娯楽性はまあまあだし、せっかく清水靖晃がサントラを担当しているのにあんまり清水らしい個性は出ていないが、中々意味深なものはある一篇。

2013/08/02(金) 13:46:17 松竹 トラックバック:0 コメント(-)

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