0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「リトル・オデッサ」

リトル・オデッサ [DVD]リトル・オデッサ [DVD]
(2000/03/24)
ティム・ロス、エドワード・ファーロング 他

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 ジェームズ・グレイ「リトル・オデッサ」再見、

ティム・ロスは一匹狼の殺し屋だが、裏切り者のイラン人を殺す仕事で二度と戻らぬつもりだったリトル・オデッサに帰ってくる。

弟のエドワード・ファロングは歓迎してくれるが父マクシミリアン・シェルは道を踏み外した息子に怒っていた。

母ヴァネッサ・レッドグレーブは脳腫瘍を患っていた。

かっての恋人とも会うティムだが、彼女はティムに不穏な影を感じる。

そして土地にはかってティムに息子を殺されたボスがいてティムの行方を追っていた。






犯罪映画だが、ヒューマンな描写が多い映画。

ジェームズ・グレイは後の作品でもそういう題材をよく描いているが、しかしこの映画の描写自体は台湾映画かヨーロッパ映画のように静的なものだったりする。

その静的な描写の中で生々しく人間のリアルな生態を捉えているのが秀逸で、それ故に実に色濃く映画的なシーンが多く登場する。

田んぼで拳銃を向けるティム・ロスの描写やドキュメンタリーのような無表情な顔の数々、リアルな人々の佇みを捉えたショットなどなどが多く出てきて、それによって映画自体が実に色濃い映画的呼吸に満ちた世界になっている。

もう画面を見ているだけでジェームズ・グレイがいかに素晴らしい映画的感性を持った監督かがよくわかるが、ヒューマンなドラマの方もわかりやすい描き方ではないものの、その微妙で生々しい人々の生態をドキュメンタリー的に捉えたようなタッチにリアルさが如実に感じられ、わりと豪華目の名優たちの魅力を自然に引き出してヒューマンなドラマを描き出している。

 犯罪映画だが、ジャンル映画的な描写にならず、映画としての魅惑にひたすら満ち溢れている秀作な一篇。

2013/07/28(日) 13:27:46 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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