0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「夢二」

 
夢二 [DVD]夢二 [DVD]
(2001/09/21)
沢田研二、坂東玉三郎 他

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 鈴木清順「夢二」再見、

 大正6年に金沢にて絵師・竹久夢二=沢田研二は恋人を待っていた。

 そこへ女を取られて頭にきている殺人鬼=長谷川和彦が近づいてくる。




 

 鈴木清順の大正浪漫三部作の最終作。

 最初の「ツィゴイネルワイゼン」は芸術映画的でありながらミステリ映画としても娯楽映画としても面白い大傑作だったが、次の「陽炎座」が見た目の素晴らしさやアイデアの数々のわりには少し空回りした異色の怪作という感じだったのと比べると随分こじんまりとした大人しい出来である。

 キャストもやってることもまさに清順美学の塊であり、アイデアの数々から映画としてもいかにも清順らしい映画なのに、妙にあっさりした感じがし、何とも物足りないものがある。

 もっと好演している長谷川和彦に暴れさせてシュール極まりないとこまで描くか、夢二=沢田研二と女たちの葛藤を狂的なまで追及して描き込んでも良かったのに、その辺があっさりしすぎなのもあって、ちょっと食い足りない映画ではある。

 勿論清順ファンとしては魅力ある映画ではあるし、清順らしさが見られて嬉しい映画ではある上、沢田研二も長谷川和彦も、坂東玉三郎や女優たちも好演しているのだが、まああっさりまとめるにしても、もうちょっと日活映画時代のように唐突に切断してしまう切断面の魅力があったら良かったのにと思えるところがある。

 清順ワールドがこってり描かれてるわりには映画としてはあっさりしているところがイマイチな一篇。

2013/07/26(金) 13:41:50 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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