0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

 
郵便配達は二度ベルを鳴らす [DVD]郵便配達は二度ベルを鳴らす [DVD]
(2011/12/21)
ジャック・ニコルソン、ジェシカ・ラング 他

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 ボブ・ラフェソン「郵便配達は二度ベルを鳴らす」再見、

 1930年代のカリフォルニアにて、ジャック・ニコルソンは流れてきてギリシア移民の男の主人の機械工として働くが、主人の美しい妻、ジェシカ・ラングにニコルソンは惹かれ、ジェシカも老いた夫とは関係が冷めていて、いつしかニコルソンとジェシカは結ばれ、主人を偽装殺人で殺し、保険金をせしめようと計画する。






 ジェームズMケインの原作を80年代に再映画化した作品。

 暴力描写や、派手で扇状的な絡みの性描写を強調しているところや殺される主人の設定もわりと原作に近いものだが、しかし何故かあんまりノワール映画の感じがしない。

 やたらと表面的な性描写の派手さが目立つばかりでその底に闇の気配をあまり感じさせないのである。

 確かにニコルソンもジェシカ・ラングも熱演しているが、まるで吉永小百合が汚れ役をやった映画のようにちっともささくれたノワールの味がしないのである。

 演技派の演技合戦的な感じばかりが強調されていて、ジェシカ・ラングもファムファタール的な女ではなく、幸せになりたいだけの女だったりする。

 だからファムファタールの隠れた闇を描くべく映画がキレイごとの女の映画みたいになっていてそこが胡散臭いくらいもっともらしくて好きになれない。

 この映画などよりケインの原作映画化ではないが、似た設定の後藤大輔「喪服の女 崩れる」の方が遥かにノワールな味があるし生身の女を描いていると思える。

 この映画より前に作られた同原作の映画化は性描写も暴力描写もヘイズコード他の問題で省略されているにも関わらず、ちゃんとノワールの味わいがあるのに、この映画は名優の演技合戦と派手な描写があるだけでノワールテイストは実に薄く、そこが物足りない。

 ジャック・ニコルソンの名演ってのも考えものだよなと「シャイニング」共々思わされる映画である。

 そんなどうにもイマイチな一篇。
2013/07/16(火) 13:26:43 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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