0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「鏡の中の悦楽」

鏡の中の悦楽 [DVD]鏡の中の悦楽 [DVD]
(2007/03/21)
朝比奈順子、益富信孝 他

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 西村昭五郎「鏡の中の悦楽」再見、

兄の妻である義姉の朝比奈順子に義理の弟は憧れがあった。

ある時風呂場で兄夫婦が性交しているのを覗き見た弟は、兄がいない時についに朝比奈に襲いかかり関係を持ってしまう。




蘭光生=式貴士の原作を映画化したにっかつロマンポルノ。

何と言ってもにっかつロマンポルノ最高峰の美貌、朝比奈順子主演なのもいいが、一つ屋根の下で朝比奈の夫である兄と義理の弟が部屋や階を隔てて入れ替わり立ち替わり連続運動のように朝比奈と性交する描写を映画の運動感で捉えているのが実に秀逸である。

性交描写はドラマのお約束として濃厚に描くが、あくまで男女の情念のドラマがメイン、というのが大方のにっかつロマンポルノの名作であるが、しかしこの映画はその性交描写の過剰こそが映画的極まるものになっていて、朝比奈を挟んで二人の男が連続的に入れ替わり朝比奈と性交する、その連続の運動そのものが映画的運動そのものとして描かれておりかなり素晴らしい。

またマジックミラー越しから、義弟が風呂場での朝比奈と兄のSM的情交やレズシーンなどを覗き見る描写も、観客がスクリーンという「鏡の中」を覗き見ているかのような感覚で見せていて、そこにも映画の醍醐味がエロと同時に感じられる。

またそれによって、これは蘭光生(乱交せいのもじりから来たペンネームらしい)原作作品というより、寧ろ式貴士名義の原作の、あのエロくてグロい奇想なホラー&SF小説のような気配と式作品特有の肉の感覚を描き得ている異様さにまで到達していて、つまりこの映画のエロさそのものが映画そのものを体現し、蘭光生から式貴士的なものに脱皮していく生成変化そのものを捉えている。

 西村昭五郎の粘っこい描写と朝比奈順子の妖艶な好演も相俟って、実に異色な傑作になり得ている一篇。

2013/06/26(水) 13:54:27 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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