0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「天国の駅 HEAVEN STATION」

天国の駅 [DVD]天国の駅 [DVD]
(2005/01/21)
吉永小百合、西田敏行 他

詳細を見る


 出目昌伸「天国の駅 HEAVEN STATION」再見、

昭和45年、中年女の吉永小百合は死刑になった。

かって結城つむぎの仕事をしていた吉永は美人で評判だったが旦那は傷痍軍人だった。

吉永は夫と肉体関係がないことからある警官と不倫するが嫉妬した夫に襲われるも反対に殺してしまう。

しかし夫の死は病死として処理される。

警官を辞めた不倫相手と吉永は暮らすが。






戦後女性で初めて死刑執行者となった実在の人物とその事件をモデルに描かれた映画。

しかしこんなノワール極まる題材なのに、吉永小百合リスペクト感ばかりが目立ってちっともささくれたノワール犯罪映画の感じがしない。

どこを見ても「あの吉永小百合が汚れ役に挑戦、偉いな、頑張ってるな」みたいなムードばかり漂い、ちょうど老いてからの高倉健映画と同じように、何をやっても健さんや吉永をありがたがってばかりの雰囲気が出ていてなんだか馬鹿らしくなってくるほどわざとらしい映画である。(苦笑)

しかし意外なことにノワールの生臭さのない少々退屈な映画ではあるが、この映画はこの作りものめいた、全編ジオラマ基地みたいなわざとらしい映像感覚に妙に映画の生々しい作りもの的レア感が感じられるのである。

まあ出目監督の資質が出ているとも言えるのだが、しかし他の出目作品にそういう感覚があまり出てないことからすると、この映画にだけ、まるで撮影所やロケ地を映画用に仕切った空間の、言わば基地感覚的な構造の裏の生さが露出している。

それはこの映画のヘタクソさの証でもあろうが(苦笑)、しかしそこに妙に元来作りものである映画の生な基地的構造が露出している感じもする。

映画自体は良い出来とはとても言えないし、吉永小百合も大して良くないが、そういう皮肉な映画の裏の陰画的構造の生さが垣間見える映画ではある一篇。

2013/06/16(日) 13:39:30 東映 トラックバック:0 コメント(-)

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://shoheinarumi.blog18.fc2.com/tb.php/1365-7b363564