0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「盲獣」

 
盲獣 [DVD]盲獣 [DVD]
(2007/11/22)
緑魔子.船越英二.千石規子

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 増村保造「盲獣」再見、

 緑魔子のモデルはある時オブジェを撫で回している盲目の男、船越英二を見かけて気になる。

 だがある日仕事で疲れた緑はマッサージを呼ぶと船越がやってきてマッサージしてくれたが、船越は緑を薬を嗅がせて眠らせ自分の異様なアトリエに監禁する。

 逃げようとする緑だが千石規子に見つかって逃げられなくなる。




 

 江戸川乱歩原作の異様な映画化作品。

 乱歩作品の映像化は正直、昔東京12ch(現 テレビ東京)でやっていた「江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎」以外には納得したことがないが、これはさすがに増村、やってくれた映画化である。

 どうやら乱歩自身もこれには驚いて吐き気すらもよおしたと言われているが、まあそれもよくわかるぐらいとことんやりまくった映画である。

 前半はサスペンス犯罪映画のようにテンポよく進むのに後半はどんどん乱歩的変態世界を徹底的に追求しまくり、触覚愛の極みにまで到達してしまう異様さはやはり何度見ても尋常ならざる見事さである。

 乱歩も変態世界をとことん追求する人だが、増村も人間をとことん追い詰め煎じ詰めてしまう映画を作っていた人である。

 その二人の倒錯的な過剰世界が交錯すればその変態追求度はやはり度を越した極限の愛に到達するものになるはずであり、故にここまでやってしまう映画になるわけである。

 緑魔子も船越英二も千石規子も実に好演しているし不気味なセットもやはり秀逸である。

 乱歩ファンとしては、これほど幸福なコラボレーションはないなと思える、未だ色褪せぬ怪作な一篇。


盲獣 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)盲獣 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
(1996/02)
江戸川 乱歩

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2013/05/24(金) 13:45:40 大映 トラックバック:0 コメント(-)

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