0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「不倫」

田中重雄「不倫」、

川崎敬三は結婚は性愛の自由を奪うとして結婚を憎んでおり、そういう本を書いて話題の人となる。

川崎は日常生活では通ってくる古風な若尾文子と現代的でさばけた江波杏子の両方と付き合っていて、二人の女は徐々に別の女の存在に気がつき競うようになる。

その後若尾が妊娠してしまい子供を堕胎させた引け目もあって川崎は若尾と同棲し始める。

しかし川崎はこれは夫婦ではないと主張するが江波には嘘つきだと詰られる。





宇能鴻一郎原作の恋愛映画。

宇能鴻一郎で不倫話なら、にっかつロマンポルノで何度か映画化されたライトな艶笑ポルノをすぐ想起するが、あちらは不倫する人妻の「わたし○○なんです」で始まるモノローグで語られていくエロ話だが、こちらは結婚を憎み自由恋愛を標榜する川崎敬三のモノローグがメインで描かれた恋愛映画である。

こっちはわりとシリアスタッチなところがあり、少々真面目な感じだが、それでも江波杏子の絡みのシーンは多少エロいし、江波は随分サバサバしたキャラである。

若尾と川崎は同居しているのに夫婦ではなく、愛人江波がやって来てそれを確認して喜び、三人は同居しながら不倫する描写など中々変わっている。

要するに昔の進歩的文化人の自己チューなエゴイズムに過ぎないことを屁理屈並べて正当化する間抜けさを描いた映画だが(苦笑)そうそう川崎の思惑通りには行かない展開を迎える。

後半は川崎、若尾、江波の奇妙な三人暮らしの描写がメインとなるが、最初は女二人が焦燥にかられていく描写が多いが後半は川崎が女二人の同性愛を疑い出して追い詰められ疲労感を増していく話にもなる。

結局川崎は二人の女と一つ屋根の下で結婚してるようなものだが、最終的にはそれゆえに色々錯綜したややこしい状況となり、ついには三人はなんとも奇妙な関係性を成立させることになる。

真面目にやっているし木下忠司のサントラはシリアスすぎるが、まあある種のシニカル恋愛喜劇、またはシニカル恋愛パスティーシュの一篇。


密戯・不倫 (1965年)密戯・不倫 (1965年)
(1965)
宇能 鴻一郎

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2013/05/19(日) 13:43:32 大映 トラックバック:0 コメント(-)

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