0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「愉しき哉人生」

 成瀬巳喜男「愉しき哉人生」再見、

 ある商店街に柳家金語桜一家が引っ越してくる。

 最初はちょっと変わった金語桜一家に戸惑い、頭がおかしい一家だと皆思うが、その考え方を知って、徐々に貧乏な貧しい生活の中で、いかにそれを幸福に変える方法があるかを町の人々は金語桜一家に学び始める。



 


 柳家金語桜主演の成瀬映画。

 いつもは貧乏の残酷、生活の現実の残酷をダークにえぐる成瀬だが、この映画では貧乏だからってヒガミ根性でものを見ていても進歩がない、だからできるだけそれを幸福に変えるものの見方をして貧乏を逆手に取って幸せに暮らすことを描いている。

 一見恍けた金語桜一家の不思議な行動が徐々に人々に生活の知恵を授け、貧乏な町の人々を幸せにしていく様が描かれている。

 わりと淡々としたタッチで描かれていて、最後は急に金語桜一家は町から姿を消してしまうのだが、それがヒーロー譚的余韻を残すところがある。

 デフレ時代は何かと悪循環なのでそこから政治が脱しようとすることは急務であるが、そういう悪循環なデフレ時代や貧乏な状況の中で生活の知恵を出し、協力し合い、被害者意識のヒガミ根性ばかりでものを見ていないで、その悪い状況を幸福に変える視点を持つことの有用性と愉しさをちゃんと伝えている映画である。

 途中朗読される佐藤ハチローの詩も中々映画に合っている佳作な一篇。


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高峰秀子、森雅之 他

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2013/05/18(土) 13:49:44 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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