0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「喜劇 男売ります」

西村潔「喜劇 男売ります」、

藤岡琢也は芸術系の本を専門に出す出版社をやっていたが経営はいつも火の車だった。

その資金繰りのために藤岡は絶倫なので女から金を巻き上げたりツケを待ってもらったりしていた。

作家の小山田宗徳はエロい小説を書くわりには自分の性生活はまるでダメで小説のネタは藤岡から仕入れていて、金欠病の藤岡を何かと金銭面でフォローしていた。

二人の妻、草笛光子と中原早苗は旦那がそんな調子で夫婦生活がちゃんとないため欲求不満になっていて、ついには二人でホストクラブに通うようになる。





佐藤愛子の原作を映画化した喜劇映画。

タイトルが松竹の森崎東の艶笑喜劇映画みたいだがこれは東宝作品である。

一見下世話な艶笑喜劇だが、藤岡はあくまで自分が信じた芸術を守ろうとしており、そのために女を騙して金ばかり引き出すという下世話な行為を繰り返していて、まあそういうギャップを描いた喜劇だが、この藤岡を見ていると本物の映画を撮るために敢えてピンク映画を撮っているピンク映画監督の俊英たちの意地を想起してしまうところがある。

藤岡も小山田も好演しているが、草笛光子が随分下世話な役どころを演じていて、最後はイタリアの艶笑喜劇映画のように展開して終わっていく。

70年代初頭の風俗を反映してヒッピー文化などが盛り込んで描かれていて、ホストクラブではモップスが演奏してたりする。

芸術を守るために汚れた生活をする藤岡を喜劇的に描いているが、途中ちょっとダレるものの、中々シニカルに描かれている。

まあ西村潔らしいスタイリッシュさはあまり出ていないが、それでも冒頭の回転するベッドと張り巡らされた鏡の描写など中々トリッキーだし、そういう映像的な奇妙さや演出の変さは随所に見られる。


その点では多少個性のある喜劇にはなっている一篇。



西村潔の秀作二作
ヘアピン・サーカス [DVD]ヘアピン・サーカス [DVD]
(2009/03/11)
見崎清志、江夏夕子 他

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豹(ジャガー)は走った [VHS]豹(ジャガー)は走った [VHS]
(1998/03/21)
加山雄三、田宮二郎 他

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2013/05/14(火) 13:20:50 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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