0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「砂糖菓子が壊れるとき」

 今井正「砂糖菓子が壊れるとき」、

 女優の若尾文子は金がなくてヌードになるが志村喬に見初められて役を貰う。

 だが志村は余命幾ばくもなかった。

 志村は死ぬ前に一億近い財産を若尾にやりたいので結婚しようと言うが、若尾は金のために結婚出来ないと言い、その後ヌードになった過去がバレて会見するも志村に言われた通り正直に話すがすぐに志村は死んでしまう。

 志村の葬式で感情的になった若尾は見かねた津川雅彦の記者に連れ出される。





 曽野綾子原作、橋田壽賀子脚本の女優の一生を描いた恋愛映画。

 実際の女優・若尾文子と比べると、ここで若尾が演じてる女優は頭が弱くて学のない役どころなので随分キャラが違うように見えるが、しかし同じ女優の役なので少しは被るところもあるようにも思える。

 やたらと省略描写が多い映画で、若尾は志村が死んだ後も津川に大学教授の船越英二に、野球選手の藤巻潤、有名脚本家の田村高廣と恋愛相手を変えていく過程が随分省略的に描かれていく。

 結局津川は若尾のパワーが手に負えず、大学教授の船越は尊敬していた若尾に普通のスケベ男であることがバレて幻滅され、藤巻は理想の結婚生活が女優の若尾とは送れずすれ違いまくって離婚、田村も若尾へのアドバイスに追われて自分の脚本が書けなくなり離婚となり、実は普通の女の幸せを望みながら女優をやっていただけの若尾だったが最後は不幸な末路を迎える。

 だが若尾が並々ならぬ才能の女優であることが名女優・若尾文子が演じているからかよく出ていて、それ故に普通の幸せと女優の成功が両立しないことの難しさが如実に描かれている感じである。

 どこかマリリン・モンローの女優人生を見ているようでもある。

 若尾を影から支える原知佐子も中々いい味を出して好演している。

 省略描写の多さ故に淡々としたタッチにテンポがあり、中々面白く見られるが、若尾文子がやはり熱演しているのが一番目立つ佳作な一篇。


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(1972/08)
曽野 綾子

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若尾文子、伊藤雄之助 他

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2013/04/27(土) 13:32:14 大映 トラックバック:0 コメント(-)

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