0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 三國連太郎

 
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 三國連太郎さんが90歳で亡くなられた。

 素晴らしい名優であった。

 若い頃のデビュー作「善魔」のころから強烈な個性を見せていたが、「本日休診」における狂人演技はコミカルな名演で見事だった。

 「あした来る人」や「ビルマの竪琴」 「美徳のよろめき」「夜の鼓」や「切腹」の斉藤勘解由役、「暗黒街最後の日」「陸軍残虐物語」「越後つついし親不知」「怪談」 「大いなる驀進」「にっぽん泥棒物語」「狼と豚と人間」「飢餓海峡」などで好演していたが、深作欣二の「脅迫」での追い詰められた人間臭い演技が個人的にはかなり印象深い。

 また「神々の深き欲望」「野獣都市」「戒厳令」の北一輝役、「卑弥呼」「襤褸の旗」「金環蝕」などでも好演していたが、「犬神家の一族」の犬神佐兵衛役は映画の物語の影のように出てくる役どころだったが、あの不気味感はやはり三國氏の強い存在感あってのものだと思ったものである。

 また同時期に「八甲田山」「復讐するは我にあり」などでも個性溢れる好演を見せていたが、元々何度か出演している吉田喜重監督の復帰作「人間の約束」や「嵐が丘」でも味のある名演を見せていた。
 
 他に老いてからも「マルサの女2」や、ハマリ役となった「釣りバカ日誌シリーズ」スーさん役、「息子」「夏の庭」、息子・佐藤浩市と共演した「美味しんぼ」の海原雄山役、「ひかりごけ」などで好演していたが、いつの時代にも何か強烈に不気味な、それでいて人間臭い個性を出す名演を見せていた。

 善玉も悪役もどちらも味わい深く演じ、存在感もかなり強く印象深い名優だった。

 たとえば成瀬巳喜男の「夫婦」でダラダラ居候している脇役で出ているだけでも、その三國氏の存在が映画自体の中で描かれる崩壊寸前の夫婦関係の非情と残酷を如実に浮き彫りにしていた。

 これは何気ない好演だが、そこにもやはりさりげなくも映画のカラーを左右する強い個性が出ていた。(勿論成瀬の見事な描写故でもあるが)

 リアルでは自身の短小、包茎、早漏の話をよく本などに書いている人だったが、そんな飾らない人だったようである。

もはや言葉に尽くせぬほどの強烈な名優だったと思う。

 三國連太郎さん、ご冥福をお祈り致します。


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2013/04/15(月) 12:54:21 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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