0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「天使が俺を追い駆ける」

 井田探「天使が俺を追い駆ける」、

 三木のり平は女にフラれ、仕事もうまくいかず上司から叱られまくり、借金の保証人にもなって自分が借金地獄に陥ったりと踏んだり蹴ったりの人生で自殺しようとしていたが、自殺が何故かうまくいかず、中々死ねないでいた。

 そこへ殺し屋が逃げ込んできたので、三木は自分を殺してくれと頼むが、殺し屋はただでは殺せないと言い出し、三木に保険金をかけて事故死させようとするが、どういうわけか三木はツキに恵まれだし、死ぬ前の金として殺し屋会社にもらった金で吉永小百合の借金を払ってやり、残った金で博打をやったら大儲け、その後金を取り返しに来た賭博場のチンピラ相手にも間違えて着たジャケットに大量の拳銃が入っていたことでビビられて逆に金を返され、ついには吉永にコクられるところまでツキまくることになる。



 


 シニカル風味の日活アクション喜劇映画。

 SP映画なのに、キャストが脇に金子信雄、西村晃、山内賢、超端役で左とん平が出ていて、三木の相手役が吉永小百合と妙に豪華だったりする。

 最初運が悪くて、というか人が良すぎて自殺寸前まで追い込まれた三木が殺し屋との遭遇で人生が変わっていく展開は、後のアキ・カウリスマキの「コントラクトキラー」みたいで、カウリスマキは日本映画好きだしこの映画を見てるんじゃないかとも思えるが、途中からは三木がツキにツキまくる展開で、なんと吉永小百合にまでコクられるほどモテモテになり、何をやってもうまくいくだけでなく、それまで裏目に出ていた三木の人の良さがいい方向に好転していくようになる。

 その意味ではただのシニカルな喜劇ではなく、わりと普通の意図があるハッピーエンドな喜劇映画だが、途中に世界中の殺し屋なんてのが出てきて、それが日本に集結しているという設定は、いかにも当時の荒唐無稽な無国籍アクションをお得意とした日活らしい設定と言えばらしい。

 吉永小百合はまだ娘感丸出しの時代だが、妙にさっぱりした女子の印象があるので、三木のような中年男に惚れこんでしまうところにもそう不自然な感じはしない。

 三木のり平という芸達者が中心の喜劇がタイトル通りの内容で転回する映画だが、やはり三木に安定感があるので少々映画がおかしな転がり方をしていってもちゃんとまとまったものになっている一篇。



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  2013/04/07(日) 14:02:39 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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