0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

 平波亘「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、

 尾崎愛の娼婦は一人の外国人を誘惑して客にするが、ちょっと寝入った間に久保田智也の男娼に客を取られてしまう。

 これまでも何度もそういう目に遭ってきた尾崎だが実は久保田は尾崎の兄だった。

 つま兄妹両方体を売り、客を取り合っていたのだった。

 ある男は久保田に惚れ込んでしまい、追いかけていたが、いつも客に新しい世界を開かせて夢中にさせてしまう久保田は妹から奪った外人客も夢中にさせた後絶望させ、そのことで外人客は車にも轢かれ瀕死の状態になる。

 尾崎には娼婦仲間の米本奈津希がいたが、米本は客と結婚する話が進んでいた。



 

 男女入り乱れての恋愛合戦を描いたような恋愛喜劇映画。

 しかし不確かな愛を信じようとするシーンだけ妙にシリアスに描くわりには結局俯瞰で軽く見ている描写が続き、イマイチ焦点が絞り込めていない、中途半端なというか空中分解寸前の映画になっている。

 まあそのわりには4つのチャプターに分けた構成が多少まとまりを維持させているのか、一応まとまった映画になってはいるのだが、せっかく尾崎愛も久保田智也も米本奈津希も娼婦や男娼の役に合っていて中々熱演しているんだから、もうちょっと色濃い映画にも出来たように思う。

 役者陣の魅力は十分にある上、兄妹が体を売って客を取り合うことで恋愛関係が錯綜していく設定だって悪くないのに、やはりどうにもドラマがバラけ過ぎていて焦点の絞れていない感じが惜しい。

 チャプターが進むと前半の章の伏線が効いてくる構成にもなっているのに、そのことが大した意味を持たないというか、持っているはずなのに軽い感じで終わってしまうところがある。

 もうちょっと色濃いドラマ的な核になるようなものが明確にあれば、この映画の全ての魅力ある要素が意味深にうまく生きたように思えるだけにとても惜しい一篇。


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(2009/12/22)
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2013/04/04(木) 14:20:53 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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