0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「極私的ランナウエイ」

 河合健「極私的ランナウェイ」、

 櫻井拓也はカメラマン志望でバイトしている男だったが、周りが小さく前に向かっているのに何も変わらない毎日を過ごしていた。
 
 だがある時有元由妃乃を街で見つけ家に泊めるが、その後彼女はずっと櫻井と生活するようになる。

 櫻井が童貞であることを笑う彼女だったが、彼女は援助交際をやっている女だった。

 ある時櫻井憧れのプロのカメラマンと仲良くなるが、そのカメラマンは生活のために児童ポルノ写真を撮り捕まってしまう。



  何事も変えられない若者を描いた青春映画。

 しかしカメラマンの夢が幻滅的になったり、援助交際少女の話とかわりと派手な題材なわりに演技と演出がタラタラしているので妙にパッとしない映画になってしまっている。

 最後の不思議な描写からすると、タイトル通りこれは主人公の男の妄想だったのか・・・?とも思わせるが、そういう捻りがあったとしてもなくても、どっちにしてもパッとしない映画である。(苦笑)

 なんというか、ちょっと前によくあった自分探し、自傷行為、夢と現実の乖離というテーマをもっともらしく持ってきてはいるが、それをダラダラ描いただけのような映画になってしまっている。

 それと何も変わらない現実を生きていることをハナから否定しているというか、世間の夢や希望は素晴らしいという幻想のために否定させられているような傾向があるが、そのことをまるで疑わないで、何も変わらないことが絶望した人間の末路みたいな捉え方になっているのも一面的すぎる。

 それなりに頑張って撮っているのはわかるが、どうも作り手に明確なものがないまま作ってしまったような感じがする。

 映画自体を極私的ランナウエイのタイトル通り迷走的に描いているのかもしれぬが、そういう映画ならではの醍醐味も薄く、全体的に妙にイマイチな感じがする一篇。


ヒステリック [VHS]ヒステリック [VHS]
(2001/09/04)
小島聖、千原浩史 他

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2013/03/26(火) 14:13:38 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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