0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「雑音」

 上原三由樹「雑音」、

 ある女子高生は妊娠してしまったことを知る。

 保健室の先生も妊娠しており、子供を産むことの幸せに満ち溢れていたが、女子高生の彼女には産む選択をすることは難しかった。

 相手の彼氏は、彼女が堕胎する選択をしたことを喜ぶが、しかし同時に子供を殺してしまうことに罪悪感と自身のふがいなさを感じていた。



 


 妊娠してしまった女子高生が子供を産むか否かで葛藤する青春映画。

 静的な描写で捉えられているのは上原監督らしいタッチという感じもするが、ドラマ自体にもこの静かなタッチが合っている。

 題材自体は30年以上前に「3年B組金八先生」で描かれたものと同じだから、そう衝撃的なものではないが、子供を産むことに葛藤するまだ子供なヒロインが、母の表情になったり、女子高生的表情になったりする、その微妙な表情の変化を捉えている。

 だから最終的な選択をした後、また女子高生の子供の表情に戻った彼女が、最後の最後に嗚咽するシーンでは、また悲痛な叫びをあげるやるせない母親の表情になっていて、その生成変化の微妙さを映像に焼き付けているところが出色な映画である。

 設定も題材もある意味シンプルなもので、もうちょっと描き込んでもいい映画だとも思うが、それでもヒロインの表情の微妙な変化に、ドラマ的情緒と深い意味深さが顕れているところが秀逸な一篇。


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2013/03/21(木) 13:36:15 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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