0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「フィガロの告白」

 天野千尋「フィガロの告白」、

 田舎の中学生男子は自転車通学の途中拾ったエロ本や大人向け週刊誌を見て騒いでいたが、ある時好きな女子に全員電話してコクり出す。

 だが続々と相手に断られるが、彼らは妙にヘラヘラしているのだった。





  「桃まつり すき」の中の一作。

 いくら中学生の恋愛とはいえ、そこにはもうちょっとメリハリというか、女子への初めての告白なんて、生涯最初で最大の勝負なんだから、もっと真剣勝負めいたときめきや、失恋した時の痛々しさが出てないとリアリテイがない・・・・などと言うのは、およそ現実の中高生を知らない奴の言うことである。

 今の中高生男子のごく普通の日常の姿や、そのリアルな感じを、ここまで出した映画も珍しいくらい、もう自分の知ってる中高生男子の姿が浮かんでくるほど、この映画の田舎の中高生の姿はリアル極まりない。

 かっては中学生と言えども、初恋、失恋の描写は、ドキュメンタリー的なタッチで描いていても、どこかほのかな青春映画風味を出していたものだが、しかし実はあれは、昔中学生だった大人の過去への憧憬を加味した大人に都合のいい中学生像だといつも思ってきたので、こういう自分がリアルに知ってる、ほとんど小学生低学年がそのまま中学生になったような男子たちの描写を見ると、そうそう、これこれと言いたくなってしまうね。

 およそ女子に告白するなどというには、まだ5、6年早いんじゃないかと思えるほど子供っぽく屈託なく友達同士で存在している、その幼い無邪気さが感じられる中学生たちが、それでも年齢的には思春期に入っていて、皆年相応のことをやっているだけ・・・という、この見た目と中身のギャップ感がやはり今の現実を顕していると思う。

 たぶん、彼らはひな壇芸人の恋愛どっきり番組のノリで、自分たちのリアル恋愛真剣勝負をやっているのだろうが、それも多分照れ臭さゆえのパフォーマンスかもしれない。

 この中で一番小学生低学年っぽく、およそ初恋だの恋愛だのお前まだ早いだろ…と一見見える少年がいるが、彼は見事無残にフラれるも、その後失恋した仲間に随分気を使って部活の先輩みたいな気使いを見せたりする。

 だけどこの少年が一番恋愛から遠い子供にも見えるというこのギャップ…。

 まあ彼にとっては、好きな女子にコクるのも仲間内のイベントというか子供のゲームであり、普段やっているだろうゲームと変わらない感じなのかもしれぬが、そういう部分も含めて、今の中高生ぐらいの、特に田舎の男子の感じが見事に出ている。

 その分、演技過多な女子中学生や、後半のいかにもまとめに入ったような有り合わせっぽい喜劇展開にはちょっと興ざめするが、それでもやはりこの小学生低学年のノリまんまみたいな、今のリアルな田舎の中学生男子の姿を捉えたところは見事だと思う一篇。


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  2013/03/15(金) 13:57:50 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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