0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「灼熱の椅子」

 野口博志「灼熱の椅子」、

 和田浩治はチンピラっぽく街をウロウロしていたが、ある事件をきっかけに凄腕のヤクザに買われ相棒のようになる。

 しかしそのヤクザは組の金を持ち逃げして組織に追われており、松原智恵子と逃げようとしていたが和田は組織に手を貸してこの男を消すのに一役買う。

 だがその時松原に惚れ込んだ和田は松原の仕事まで斡旋して消える。

 その後和田は垂水悟朗の組織の人間に買われ、裏社会でのし上がって行こうとする。




 

 和田浩治主演の暗黒街ノワール映画。

 まるで和田浩治主演の「アウトレイジ」日活アクション版のような映画。

 裏切りに次ぐ裏切りが繰り返され、絶えずサイレンサー銃が火を噴き、組織にとって邪魔な奴はどんどん殺され、組長の山本礼次郎も絶えず狙われ、とそのめまぐるしい裏切り合いの様相はまさに「アウトレイジ」2作に匹敵する。

 和田は最初ただの気のいいチンピラとして登場するが、実は裏社会でのし上がることを画策する悪党で、自分を買ってくれた垂水も裏切り、垂水の女、香月美奈子とデキていて、組織のトップの「灼熱の椅子」に座ろうと猛進していく様が描かれている。

 二枚目ボンボン役やいい奴なチンピラ役多しの和田がここでは中々ピカレスクな役どころを好演している。

 また日活青春さわやかスターの山内賢が最初は気のいいチンピラ・キッドとして登場するも、実は最もボスに忠実で非情極まるヒットマンの正体を明かし、最後まで平気のへいざで組織の人間を非情に殺しまくる意外なキャスティングも秀逸で、ここにも北野武の暴力映画との類似があるように思う。

 香月美奈子がお得意のファムファタールな悪女役を好演しているが、しかし本当のファムファタールは、健気で清純な顔をして、実は和田他のヤクザに夢を見させては無意識的に彼らを奈落の底に突き落としてしまう松原智恵子であり、その清純な表面とは裏腹な無意識のファムファタールぶりが終盤ご本人は気が付かない形で露呈していくところも興味深い。

 非情でクールな日活暗黒街犯罪ノワール映画の魅力が充満している上に、その抗争があまりに錯綜的であるがゆえに、後の「アウトレイジ」をも想起させる中々秀作な一篇。


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(2011/12/31)
和田浩治

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2013/03/14(木) 13:53:12 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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