0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「タブー 赫いためいき 」

 
タブー 赫いためいき [VHS]タブー 赫いためいき [VHS]
(1998/09/04)
濱田のり子、新藤栄作 他

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 小平裕「タブー 赫いためいき」再見、

 濱田のり子は松崎洋二と夫婦だったが、松崎に喪服をプレゼントされたすぐ後、松崎は死んでしまう。

 その葬儀に松崎とは友人関係だった新藤栄作がやってくるが、新藤は濱田にかねてから気があった。

 映画は生前の松崎を回想する形で、松崎と濱田のなれ初め、新藤が濱田に興味を持っているのを知りつつ振る舞う松崎の姿を描いていく。



 にっかつロマンポルノっぽさがわりと出ている、川上宗薫原作の日活Vシネマ作品。

 死んだ夫役の松崎洋二が実にいい味を出している。

 監督の小平裕も、脚本の昨年亡くなった神波史男も東映作品多しの人だが、にっかつロマンポルノ的に掘り下げたドラマがちゃんと語られている。

 神波と南木顕生による脚本がその意味では秀逸なのだろう。

 前半はそれでも松崎の存在感で押している感じで、実は主演のちゃんと脱いで絡んでいる濱田のり子より松崎の存在感の方が際立っているのだが、後半になると新藤と濱田の、松崎の死後の話と関係描写がメインとなり、ドラマがさらにこってりとしてくる。

 新藤栄作がちょっとさわやかすぎる感じもするが、それでも徐々に松崎がかって、濱田の前の彼氏との関係を気にしたように、新藤も濱田を抱きながら、そこにいつも松崎の影を感じ、濱田の心にも松崎が確実に存在することを気に病んでいく描写などが中々いい。

 これもひとえに脚本のこってりした展開のさせ方と、松崎洋二の存在感の大きさゆえの秀逸さではないかと思う。

 川上宗薫の小説は文学よりはエロ小説扱いされることも多いが、この作品は性と死の関係が文学的に描かれた映像作品になっていて、川上の文学者としての資質の方を際立たせているように思う。

 こってりした展開の脚本と、それをわりとあっさり撮っている小平裕の演出の融合にまったく齟齬がないというわけではなく、違う監督が撮ったらまた別の魅力の作品になった感もあるが、それでも秀逸な部分は多く、最後までおざなりなドラマにならないところがいい佳作な一篇。


 

  2013/03/10(日) 14:00:31 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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