0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「大拳銃」

 大畑創「大拳銃」再見、

 ある潰れかけの小さな工場に拳銃密造の話が舞い込む。

 ジリ貧状態ゆえに仕事を受けた男は拳銃密造を始めるが、最初は慣れずに暴発銃を作ってしまう。

 だが改良と精査を重ねて無事まともな完成品を作り上げ納品するが、買った先方からは不具合が見つかったと言われる。

 その後更なる密造の発注を受け拳銃を作り続けるが、不具合などあるはずがないので、男の依頼者への不信はつのっていく。

 そして男は注文のあったリボルバー拳銃とは別に、密かにあるものを製造していた。




 密造拳銃を巡るサスペンス活劇映画。

 およそかっての日本のプログラムピクチャーのサスペンス映画においてさえ、ここまでドラマが絞り込めていて簡潔に描かれた面白さのサスペンス活劇もそう多くないと思えるほど、実によく出来ている作品である。

 拳銃の密造に関わってから疑惑に次ぐ疑惑を交えて事態は進行し、途中人物関係が転換したり、一方的に不信をつのらせる立場から攻撃に転じて、また窮地に陥ったりと、そう長くない上映時間の中でめまぐるしく展開していく。

 その上そこに、密造拳銃にまつわる闇の気配が濃厚に立ち込めていきサスペンスタッチもさらに際立っていく秀逸さである。

 依頼された密造拳銃とは別のものを主人公の男が密かに製造している話も、最後のクライマックスの派手な活劇展開の中でまるで花火を打ち上げるように機能しており、展開と面白さに加えて構成の巧さも際立っており、見事な脚本を実に緊密なタッチで簡潔に撮り上げた、世界中どこへ出しても恥ずかしくない傑作である。

 ラストシーンのワンシーン、ワンカットの描写も実に映画的である。

 この大畑監督をよくハリウッドが放かっておくな・・・とも思うが(すでに話が来ているかもしれんが、そうであったとしても少しもおかしくない))、この「大拳銃」自体がハリウッドでリメイクされる話になっても少しもおかしくないとも思う。

 グルジア人監督ゲラ・バブルアニの秀作「13/ザメッティ」がハリウッドでリメイクされたように、この作品の最後の銃撃シーンをさらに派手に描いたハリウッドリメイク版が生まれても全然不思議じゃないほどよく出来ている。(その際には是非、そのまま大畑監督にこの簡潔さのままハリウッドリメイクしてほしいが)

小さな映画だが、日本映画が世界に誇るべく傑作な一篇。



「大拳銃」も収録されている 
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「13/ザメッティ」のハリウッド・リメイク
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2013/03/08(金) 13:58:42 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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