0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ひとり旅」

 斎藤武市「ひとり旅」、

 エースの錠=宍戸錠は悪党の上前をはねるのを繰り返していたが、ある時安部徹の上前をはねた時、安部の取引相手の浅丘ルリ子の父が安部の部下に殺されてしまい、取引のブツだけ持っていかれる。

 その後錠はある取引に乱入し、また上前をはねようとするが、これは内田良平が張った罠で、錠は殺されてしまう。

 だがその後彼らの前に錠が現れ、安部や内田は幽霊か?と驚くが、錠は自分を恨んでいる浅丘の所へ行き、情婦だった白木万理とも会うが、白木は目の前の見た目そっくりの錠が本物の錠ではないことを見抜く。




 

 まるで青春映画のようなタイトルだが、エースの錠にまつわる日活アクション映画。

 悪党の上前をはねるエースの錠と死んだはずなのに現れた幽霊のような錠の話だが、最初錠は実は死んでなくてただ単に生きていただけというご都合主義かと思わすが、実はそうでもなく、後に現れた錠は別人であることが発覚していく展開である。

 元々エースの錠ってキャラ自体が日活無国籍活劇の荒唐無稽キャラなだけに、荒唐無稽キャラという虚構的存在を巡って本物か否かを描いているというのがちょっと面白いが(ってどっちもあり得ない奴だろとも言えるが。苦笑)その点では後半のエースの錠はほとんど善玉キャラであり、つまり冒頭の悪党キャラと後半の善玉キャラは別人だが見た目は一緒・・・ということでキャラの変化の帳尻を合わせているとも言えるかもしれない。

 まあしかし、やはりエースの錠のキャラは宍戸錠のハマり役であり、この映画では「渡り鳥」シリーズにおける敵役・宍戸錠に匹敵するライバルキャラを草薙幸二郎がこちらもクールな殺し屋役に見事ハマって好演している。

 途中で三つ巴の組織の騙し合いとその攻防戦が描かれるようになっていくが、その合間で偽物のエースの錠が彼らを翻弄していく展開となる。

 それほど通常の日活アクションと違うタイプの映画ではないが、エースの錠という荒唐無稽キャラ自体に焦点を絞ったものにはなっている一篇。


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宍戸錠、ジェリー藤尾 他

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  2013/03/02(土) 13:59:09 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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