0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「アンダーウェア・アフェア」

 岨手由貴子「アンダーウェア・アフェア」、

寂れた田舎町で暮らす主婦の女は、保育園・園長の夫とは別居中だった。

 5歳の子供を育てている主婦はある日綾野剛と出会い話す。

 かってのこの女は少女時代、汚い団地に住み、足に傷跡を残し生活していた。



 


 一人の女の過去と現在が交錯する映画。

 しかしその交錯の描写はわかりにくく、お話も明確に語られているとは言い難い。

 どの画面も古典映画のように映画としての気品を放っていて、実に丁寧に撮られており、この女性監督の映画的才能は間違いなくかなりなものであるだけに、ちょっとこの不明瞭すぎる描写が勿体ない。

 脚本自体だって、結構凝った設定のものなわけだし(だがその設定もちょっとわかりにくいが)、決して脚本をないがしろにしている映画ではないように見えるだけに、実に惜しい映画である。

 しかしさすがにその演出力や、独特の空間描出力や映画としての間の描写は相当な才気を感じさせるもので、役者陣も綾野剛も山中崇も、東加奈子も小野 ゆり子も、皆いい味わいで好演している。

 せっかく今時古典映画作家のような映画的才能を持っていて、それをちゃんと映画として顕在化出来る能力を持っているのだから、今後はもうちょっと、何でもわかりやすくすればいいわけではないが、ドラマをもう少しだけでもわかりやすいものにするか、もしくはその独特のニュアンス表現や映画としての繊細描写に(今でも抒情や情緒はちゃんと出ているものの)説得力を持たせるとさらにいい監督になるだろう、と期待させる映画ではある一篇。



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2013/02/22(金) 13:58:56 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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