0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「結婚期」

 井上梅次「結婚期」、

 市役所に勤める鶴田浩二は緑を愛する男で、公園作りを熱心に行おうとしていたが、ある時テレビに出ることになり、そこでいつも通勤バスで岡惚れしていた有馬稲子に会う。

 有馬はキャスターをしていて鶴田にインタビューする役だったが、鶴田はあがりまくっていた上に間違った資料をもらって喋ったため頓珍漢な返答をしまくる。

 だがそれで知り合った鶴田と有馬は誤解もあったが仲良くなるが、鶴田のいとこが追い掛け回されている岡田茉莉子の芸者に今度は鶴田が追い回される羽目になり、それで有馬との仲が熱くなったり醒めたりすることになる。




 

 鶴田浩二がヤサ男役メインだった頃の松竹ラブコメ映画。

 鶴田は市役所勤めの公務員だが、緑を愛していて公園を造り、街に緑を、とか言ってるわりにはテレビでインタビューされると資料を見ないと何もしゃべれないし、勝手な公園や緑地化計画の夢想のために住んでいる住民を立ち退かせようとしていて、実際はロクに仕事に熱も入ってないグータラ公務員でその上役人根性そのものみたいな奴だな…と見ていて思わされる。

 すると後半、つき合うようになった有馬に、あんたの言ってることはエゴイズムであり、役人根性そのものだと当然の批判を受けることになる。

 まあ基本、鶴田が出てくる女全員にモテまくるラブコメなので、それで喧嘩しても鶴田と有馬は切れないのだが中々真っ当な批判が入る映画ではある。

 だが最後は台風に見舞われて吹き飛びそうな(鶴田が立ち退きを迫っていた)バラックを、鶴田が激しい風雨の中救おうとして怪我をし、それで皆感心して立ち退き要求に応じ、鶴田と有馬の仲も深まって映画は終わっていくのだが、こんな公務員がどこにいるんだよ(苦笑)と言いたくなる綺麗ごとなまとめ方で終わっていく映画ではある。

 まあこの昭和30年代頃の公務員は、今のようにロクに働きもしねーくせに暴利を貪っているような状況ではなく、まだ薄給な方だったと思うが、それでもこの映画は当時からある役人根性を批判してはいる。

 しかし最後はいかにもユルいラブコメらしく取ってつけたような美談話でまとめており、まあこういう感心な公務員だって現実にいるかもしれないし、いてくれた方がいい、存在するべきだ・・という理想が描かれているのかもしれんが、ちょっと無理がある感じはまあする。

 それでもモテまくる鶴田が多くの女にイッペンに寄ってこられて困惑するシーンなどにコメディとしての面白さはよく出ていて、岡田茉莉子が随分ビッチな芸者を好演していたり、ヒロインの有馬稲子もいい感じで、映画自体はまあまあ楽しく見られる喜劇映画になっている一篇。


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鶴田浩二、津島恵子 他

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2013/02/20(水) 14:10:25 松竹 トラックバック:0 コメント(-)

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