0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「人形左七捕物帖 浮世風呂の死美人」

 毛利正樹「人形左七捕物帖 浮世風呂の死美人」再見、

 ある時一年前に失踪した女形役者のレアな浮世絵を持っている女が次々と殺される事件が起こる。

 十手持ちの左七=若山富三郎は捜査に当たるが、その浮世絵はある男が昨年大量に買い込んだのだが、その前に早々と買っていたファンの女子がいて、殺されているのはその女子たちだった。

 犯行現場では顔に派手な痣がある男が目撃されていた。

 だがその事件には、裏にもっと大きな陰謀につながるものが隠されていた。



 

 横溝正史原作の推理もの時代劇映画。

 ミステリ的な意味では、顔に痣がある男や失踪した役者の正体などに中々ミステリ的な魅力があり、殺人事件の裏に隠された陰謀話に最終的に繋がっていく描写もわりとスムーズですっきりしている。

 しかし事件は、今でいえばBL系のファンの腐女子がレアすぎるグッズを持っていたために殺されるというような事件であり、なんとも奇妙に今風なものだったりする。(苦笑)

 若き若山富三郎の左七親分はさすがにハマり役で、天城竜太郎(若杉光夫)も、後には変態役を得意とするようになるが、この頃は二枚目らしい役どころを好演している。

 日比野恵子の元スリがどう見ても足を洗っていないどころか、いつでも怪しい場所に姿を現して現役バリバリ感丸出しなのに、日比野に「私はとっくに足を洗ったんですよ」と言われると、過去に何度も捕まえたことがあるくせに若山はイチイチ「おっと、こいつはすまねえ」と言うのが可笑しい。

 まあ若山としては疑ってないふりして隙を突こうと思っていたのかもしれんが、そのわりには日比野を自由にしすぎているところがある。(苦笑)

左七=若山は銭形平次のように銭を投げる武器もろくにないので、男気はあるが大して強くもないのだが、子分たちからは強い、強いと言われている。

 しかしそれは子分が弱すぎるからだろ、というのは見てれば誰でもわかるだろう。(苦笑)

 最後は大きな話に展開していきチャンバラ展開になるわりには、ミステリ映画としてちゃんとお話が進展していく、そう悪くない一篇。


 
人形佐七捕物帳 (光文社時代小説文庫)人形佐七捕物帳 (光文社時代小説文庫)
(2003/01)
横溝 正史

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2013/02/18(月) 13:51:32 新東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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