0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「浮草の宿」

 鈴木清太郎(清順)「浮草の宿」再見、

 二谷英明は殺されかかっていた格闘中に相手が何者かに殺され、自分も殴られて海に落ちる。

 その後死んだ男は二谷によって殺されたのではと報道されるが、二谷が再び姿を現すと山岡久乃の恋人は姿を消しており、瓜二つの妹(山岡・二役)がバーで働いていた。

 恋人の山岡を探す二谷だが、二谷は密輸に関わっていて、取引相手の安部徹は実に怪しい相手だった。

 その頃流しの春日八郎の妹は二谷に気がある様子で、兄の春日は二谷は危険な奴だからと妹を窘めるも、妹はそのことで激昂する。



 
 鈴木清順が鈴木清太郎時代に撮った、春日八郎の歌謡映画にして日活アクション映画。

 二谷は単純に善玉というわけではなく、春日が一応主役となっているが、劇中には春日はたまにしか出てこず、ほとんど二谷英明の犯罪活劇映画になっている。

 ややこしそうな状況ではあるが、話の筋はわりとシンプルなもので、清順=清太郎もまだ変なことはあんまりやっていない。

 しかし自分の無実を叫ぶ二谷が急に英語で訴えだしたり、酒瓶で殴られた話を二谷がしていると通りすがりの男がウイスキーの小瓶を投げ、それが海に落ちるまで数回移動するという奇妙な描写は少し入る。

 冒頭の謎の男の正体も、ほぼ前半でバレバレだし、歌謡映画のわりには一応春日は劇中歌ってはいるが、出番が少なすぎるのでそんな感じもせず、何とも立ち位置が微妙な映画ではある。

 後半の活劇展開は多少錯綜するが、後はそれほど変わった感じもしないしシンプルな活劇である。

 ただ多少映像的にモダンな感じがするところは随所にある、日活活劇の一篇。


鈴木清順監督自選DVD-BOX 壱 <日活から大目玉をくらった作品>鈴木清順監督自選DVD-BOX 壱 <日活から大目玉をくらった作品>
(2006/10/20)
三島耕、金子信雄 他

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2013/02/10(日) 14:03:27 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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