0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「夕陽に赤い俺の顔」

 篠田正浩「夕陽に赤い俺の顔」再見、

 ある企業のボス、菅井一郎は邪魔な業界誌を抹殺するため下町の殺し屋クラブに仕事を依頼するが、殺し屋の面子は個性派揃いだった。

 ターゲットは業界誌の経営者、西村晃ではなく、様々な暴露ネタを公表してブラック企業を潰してきた岩下志麻だった。

 殺し屋グループは岩下を狙うが、その暗殺仕事をメンバー間で競っているとメンバーより腕のいいチンピラ、川津祐介が登場し、仕事は彼に委ねられる。

 しかし川津は岩下に惚れたと言い出し、実は岩下が父の仇のために菅井に復讐しようとしていることを突き止める。

 その後岩下を雇っていた西村は菅井の企業に金で情報を売る取引をしようとするが、裏切られて殺される。





 寺山修司脚本のポップで洒落のめした殺し屋喜劇映画。

 イギリス映画によくある洒落の利いた犯罪映画的であるのと同時に、フランス映画ならヌーヴェルヴァーグと言うよりは、ジョルジュ・ロートネルが得意としたような殺し屋喜劇映画だが(とは言えヌーヴェルヴァーグ系ではクロード・シャブロルの異色活劇の線だろうが)、日本でなら無国籍アクションの日活アクションにて柳瀬観や中平康、(ちょっと違うが)鈴木清順あたりによって作られていた異色の活劇映画の線だろう。

 殺し屋グループの面子の個性が漫画チックに際立ってキャラ立ちしていて、アメフトスタイルのインテリ渡辺文雄、戦中の銃を使う内田良平、紅一点の峰不二子みたいな炎加世子、着物姿の三井弘次、ロカビリースタイルで歌も劇中歌いまくる平尾昌晃などなどおふざけ感も随分あるキャラ作りが成されている。

 結局お話の筋自体はそう変わったものではないが、殺し屋たちのコミカルなやり取りや銃撃戦シーンのふざけたアイデアなど中々悪くない。

 川津祐介もくだけた役どころを好演しており、岩下志麻はこの中では真面目な役な方だがまあ役に合っている。

 また主題歌を歌っているデューク・エイセスも揃いのスーツに揃いのグラサン姿で歌って映画に登場し、ポップなおふざけ活劇のテイストがよく出ている。

 ヌーヴェルヴァーグとおふざけ軽妙アクション喜劇の合間のような映画だが、最初のタイトルバックからしてポップに凝っているいかにも嬉々としてやってる感じが楽しい篠田正浩最盛期の頃の一篇。


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仲代達矢、岩下志麻 他

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2013/02/06(水) 13:57:34 松竹 トラックバック:0 コメント(-)

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