0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「お嬢さんのONANIE」

 北川徹「お嬢さんのONANIE」再見、

 広告代理店社員の牧村耕次は先輩の下元史朗とテレクラへ行くが、下元がハマっていく中、牧村はカノジョとの恋愛を楽しんでいた。

 しかしテレクラで話した女に自宅の電話番号を教えたのでその女から牧村のところへ電話がかかってくる。

 牧村はカノジョとHしながら女とテレフォンセックスするが、その後その女、田口あゆみと会うも、会っても街を歩くだけで何もなかった。

 しかしその後も牧村は田口とのテレフォンセックスにハマっていく。




 北川徹=磯村一路が監督した間接的な恋愛関係を描いた映画。

 脚本に矢嶋周平とあるが、これは周防正行だろう。
 冒頭シーンでテレクラのビラをくばっている男も周防ではないかと思う。

 磯村らしい、アントニオーニ的な不毛の愛の映画を、テレフォンセックスが生身のカノジョとのSEXより上となっていくお話で描いている感じである。

 最後は男はヤリたいだけだと見下していた田口が、牧村がSEXを超えた妄想のSEXの方に儚い愛念を感じていたことを知り、最後二人は間接的な関係を選択したように終わっていく。

 80年代半ばの映画だが、イケメンでカノジョにも事欠かない牧村が、生身のSEXより妄想的な間接Hにハマっていく過程は、今のカノジョがいようが萌え系美少女との妄想的恋愛関係に夢中になっていく者もいる傾向を先駆的に描いていたように見える。

 そこには生身の人間への不信感が関係しているところもある気がするが、この映画はその点も描いているようである。

 牧村も田口も好演しているが、北川徹名義でも磯村一路らしいテーマが明滅している佳作な一篇。


 
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  2013/01/29(火) 14:18:54 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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