0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 帯盛迪彦

 帯盛迪彦監督が亡くなった。

 特に大映性愛映画で鳴らした監督だったが、有名なのは松坂慶子が大スターになる前に主演した「夜の診察室」だろうか。

 テレビドラマの演出の仕事も多い人で、映画は主に大映にて「高校生心中 純愛」や「新・高校生ブルース」「高校生ブルース」「十代の妊娠」「高校生番長 深夜放送」「高校生番長」などを撮っていたが、大映性愛映画特有の糞真面目に描いているのにやってることは妙にコミカルでエロだらけというムッツリスケベみたいな笑いを散りばめたキッチュですらある作品を連発した人だった。

 中でも「ある女子高校医の記録 続・妊娠」と「ダンプ・ヒップ・バンプ くたばれ野郎ども」は特に珍味な傑作で一番好きである。

 「ある女子高校医の記録 続・妊娠」は優等生女子の南美川洋子が、自分のパンテイを盗んだパンテイ泥棒を捕まえることに青春の全てを賭けて挫折する青春映画のようで(苦笑)、南美川の下半身の素行がどんどん乱れてくだけなのに、あくまで糞真面目なナレーションを語る南美川という徹底性が面白かった。

おまけにパンテイ泥棒を捕まえるまで南美川はノーパンを固持し続けるという意味不明な(一応糞真面目に説明しているが)ことをやり続けるところもよかった。(苦笑)

だが「ダンプ・ヒップ・バンプ くたばれ野郎ども」は一見ワイルド系のビッチな女子三人の暴走を描いた大映ピンキーヴァイオレンスなだけなようで、その実、学生運動の時代に全学連とは別に個人的に暴利を貪る金持ち連中に妨害行動を取りまくるも、その悉くが裏目に出て逆に金満家どもを儲けさせ、資本主義の運動をさらに円滑かつ強固に機能させてしまう皮肉な現実をブラックな喜劇として描いていて中々意味深だった。

 今のネット時代でも、炎上は炎上マーケティングに利用され、反原発運動がどれだけ活発になろうと原発村は自分たちの利益を優先してしまう現実があることからすると、この映画はいつまでたっても強固に変わらない資本主義の非人称的な運動の不気味を喜劇で描いた皮肉な傑作だったと思う。

 世間にはただのエロくて面白おかしい大映性愛映画の監督という印象を持たれてる感も少しあるが、中々の野心作も撮っていた人である。

 帯盛迪彦監督、ご冥福をお祈り致します。


 
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  2013/01/27(日) 14:14:15 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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