0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「社員無頼 怒号篇」

 鈴木英夫「社員無頼 怒号篇」再見、

 佐原健二はサラリーマンだが、会社は資金繰りがうまくいかず、他の会社からの援助に頼り、そのため会社には上原謙の出資会社からの出向社員が君臨する。

 佐原はこの上原が気に食わず、志村喬の社長を擁護していたが、他の社員はほとんど上原の太鼓持ち社員になっていく。

 その後佐原のカノジョの白川由美が上原の秘書に任命され、佐原は上原の白川への誘惑を警戒するが、徐々に白川は高価なプレゼントの贈り物や待遇を上げられたことなどから上原の女になっていく。

 佐原はそのことで怒り、ついには上原を殴って会社を辞めてしまう。




 源氏鶏太の原作を映画化したサラリーマン映画。

 しかしほとんどの源氏原作のサラリーマン映画がユルくて能天気なサラリーマン喜劇になるのに、この映画はさすがは鈴木英夫らしく実にノワール的なまでの暗黒サラリーマンサスペンススリラーのような映画になっている。

 これじゃあ松本清張原作の映画じゃないか…と思えるほどだが、しかしあくまで源氏の普通のサラリーマンの物語の暗黒面を追及してノワール的な映画にしているところに鈴木英夫映画的醍醐味が感じられる。

 他でもありがちな恋愛映画やサラリーマン能天気喜劇や文芸映画をほとんどノワールやスリラーやホラーじみた不気味な映画にしている鈴木英夫であるが、この映画でも明朗ヒロインに一見なりそうな白川由美が金の魔力に誘惑されてある意味女の本性を晒すように佐原を裏切っていき、その傷ついた佐原を支えてくれた水野久美すら、金のためにコールガールをしていて上原の2号になりそうになるのだから、もう映画の世界と展開はほとんど鈴木英夫お得意のノワール世界である。

 おまけに明朗で正義感溢れる「ウルトラQ」に主演していた時とそう変わらないキャラの佐原すら、この水野を利用して上原に復讐しようと画策していくようで、源氏鶏太の原作がここまでノワールチックになっていくことには少々驚く。(鈴木英夫らしいと言えばらしいが)

 最後までこのノワールサスペンス的な緊張感が持続し、ほとんど、さらに露骨で毒々しくなった成瀬巳喜男映画のような様相を呈している、実に見事な秀作である一篇。


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2013/01/24(木) 13:51:55 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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