0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「激闘の地平線」

 小森白「激闘の地平線」、

 松原禄郎は金持ちの息子だがバイクを乗り回し、ある時山登りのバイクレースをやって対抗相手が死んでしまう。

 その時たまたま通りかかった自衛官の三ツ矢歌子に松原は一目惚れし、その後はつるんでいた不良娘・扇町京子に興味がなくなってしまう。

 フラれた扇町は他の男の女になるが、松原はそんな女はくれてやると男に言い、三ツ矢を口説きに言って迷惑がられる。

 ある時危険な森に仲間と迷い込んでしまった松原は自衛隊に助けられるが、その時自衛官の沼田曜一に好感を持つ。

 だが松原の父が自殺し、その後浮気を重ねていた後妻と秘書が残った金を貯めこんでいることに怒った松原は、金を債権者に渡し、自分は荒れているところを救ってくれた自衛隊に入る。

 そこでまた三ツ矢に再会し口説きまくる松原だが、三ツ矢は自分と婚約していると沼田に言われ、松原は沼田に対抗意識を燃やすが、それがよからぬ方向に傾き出す。




 

 何度も挫折と暴走を繰り返しながらも、最後はなんとか自衛官としてまともになっていく男を描いた新東宝・青春犯罪映画。

 最初は新東宝パルプ犯罪映画のテイストプンプンなのが、後半には新東宝のもう一つのお得意である軍隊もの的テイストになり、つまりこの映画は新東宝のお得意ジャンルを二つくっつけたような映画である。

 しかし自衛隊に入ってからも松原と沼田には血なまぐさい殺し合いの確執があり、その意味では自衛隊に入っても麻薬を盗み出す片棒を担ぎそうになったり、最後まで沼田殺しを三ツ矢を巡る三角関係を超えて松原が画策していたりするところからすると、全体的には犯罪映画テイストの方が強い映画とも言える。

 だが結局最後に沼田に松原が助けられたことで、お話は全てハッピーエンドに向けて進行し、実に長閑な終わり方をする。(まあその辺も新東宝らしいが。苦笑)

沼田曜一が男気溢れる自衛隊の教官役を好演しているし、松原禄郎もお得意の根はいい奴だがすぐ荒れ狂い暴走する若者役を好演している。

 いつもは三原葉子がやるようなヴァンプでビッチな不良女役を扇町京子が熱演しているが、こちらも実にビッチ感がよく出ている。

 犯罪映画設定と軍隊ものの設定を融合させてお話を蛇行させているところにちょっとした異色な面白味がある一篇。


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  2013/01/23(水) 13:50:20 新東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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