0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「異常性愛 明日なき暴行」

 渡辺護「異常性愛 明日なき暴行」、

 野上正義は相棒と押し込み強盗をしてその家の妻を犯すが、その後相棒も殺して金を一人占めし逃走する。

 その後情婦と共に旅行に行く野上だが、女はかねてから野上の素行の悪さを気にしており、旅先で野上が強盗を働いたことを知って別れようとする。

 しかし野上はやたらと同情を引くことばかり言い、女は情にほだされてなかなか別れられないでいた。

 途中野上はかって付き合った女と遭遇し、その女も抱く。

 野上と女は旅をするが、野上が相棒まで殺していたことを女は知り、いよいよちゃんと別れようとする。



 
 ロクでもない男とそれと中々別れられない女を描いた映画。

 野上があまりにもロクでもない犯行ばかり繰り返すのでノワール映画的な相貌もあるが、基本口ばかりうまく、人の同情ばかり引くお涙頂戴偽装クズ野郎の野上に女が絶えず情にほだされてしまうので中々別れられない男女のやり取りがメインで描かれていく。

 今もこの野上みたいなお涙頂戴話ばかりして人の同情を引くヒモ野郎みたいなゴミは結構いるだろうが、1970年ぐらいのこの時代にはこういうキャラを映画やドラマでよく見かけたし余程頻繁にいたんだろう。

 映画自体ピンク映画なのに、まるで教育映画のように最後はこういうロクでもない男は叩き捨てるに限るみたいなことを女がモノローグで声高に主張して終わる。

 野上正義は同情を引いて女を騙すクズな悪党役を見事に好演しており、この野上のリアル感がなかったら全編男女のやり取りだけのこういう映画は成立しなかったと思う。

 モノクロ画像の硬質でしかし味のあるテイストも映画に合っていて、シンプルな内容だが意外と臨場感のある映画になっている。

 その点は野上の好演に併せて渡辺護の演出力故とも言えるだろう。

 言わば反吐が出るようなすぐに被害者ぶるお涙頂戴クズ野郎と情にすぐほだされて中々別れられない女の駆け引き映画のような感じだが、最後までわりとじっくり見てられる一篇。


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(2004/06/25)
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2013/01/14(月) 13:05:08 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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