0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「海底の挑戦者」

 祖野田悟「海底の挑戦者」、

 あるカップルが海に潜ると不審なものを目撃するが、その後海に上がったカップルは複数の男に襲われ、男の方は殺され、女は連れ去られる。

 カップルの女の兄である梅宮辰夫は警察に恨みがあって妹の捜査を独自でやろうとする。

 実は加藤嘉の組織が海にブツを放りこんで後で引き取りに行く取引をやっていたのだが、それを探った梅宮は捕まるも、ある黒人に助け出される。

 しかしこの黒人も悪人で梅宮が海底のブツのありかを知っているとにらんで拷問し脅してきた。

 黒人は今井俊二の潜水夫に潜らせるもブツはみつからなかったが、その後この黒人も何者かに殺される。



 

 梅宮辰夫主演の海底を舞台にした第二東映のサスペンス犯罪アクション。

 梅宮は戦時中に父を無実の罪で警察に殺されたと思っていて警察を恨んでいるので単独捜査に乗り出すが、随所で捕まったりして中々うまく妹を救出できない。

 おまけにラスボスと思われた加藤嘉が途中雇っていた殺し屋に殺され、この殺し屋がさらに強力なラスボスとなっていくので最後まで梅宮は窮地に立たされる展開である。

 久保菜穂子の悪女やこの頃はまだ善玉多しの今井俊二(健二)は役に合っており、何かと梅宮と絡むが、まあお話は蛇行するわりにはそう奇抜な展開でもなく、定番な物語が小さく繰り広げられている感じである。

 しかし銃撃シーンなどの簡潔すぎるほどの編集は後の北野武や黒沢清作品を想起させるほどの異様な短さでカッティングされており、この映画の最大の美点はシーン繋がりにも見られる、この実に簡潔極まる編集の魅力にあるとも言える。

 それが定番気味な活劇映画をわりとテンポのいい個性的なものにしている。

 梅宮はまだ若く青い個性が目立っているが、活劇映画の主役の風貌はすでに十分備わっている。

 最後の海底での格闘シーンはやはり海の中なので多少もたついているが、それでも簡潔すぎるほどの編集によるテンポのよさが秀逸な活劇映画の一篇。


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梅宮辰夫、谷隼人 他

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2013/01/08(火) 14:21:43 東映 トラックバック:0 コメント(-)

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