0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「のぞき」

のぞき [VHS]のぞき [VHS]
(2000/01/28)
井上麻衣

詳細を見る


 武田一成「のぞき」再見、

 井上麻衣は東京から彼氏を捨てて実家に帰ってくる。

 父の鶴田忍はアイデア商売がイマイチうまく行かず金もなかったが、夫婦仲も怪しく、美野真琴の愛人がいた。

 ある時泉じゅんの夫婦が鶴田の家にやってきて同居しだすが、愛人の美野までやってきてしまう。

 妻に合わせる顔がない鶴田だがしかし妻も若い坂田雅彦と浮気していた。

 ある時井上に見合い話が持ち上がるが、その相手が坂田だったため井上の母は焦る。





 磯村一路脚本のブラックでシニカルなポルノ喜劇。

 女優陣はもう今や見なくなった人ばかりだが、男優陣は豪華なまでにテレビ、映画で今でも名バイプレイヤーとしてよく見かける役者ばかりが熱演しており、芸達者が揃っている映画である。

 しかし途中はなんでもありな連中がひたすらあっけらかんと乱れた生態を生きてる姿がシニカルな喜劇として描かれるばかりでちょっと退屈である。

 武田一成らしさも大して出ていないし、有りがちなシニカルポルノ喜劇な感じがする。

 しかし終盤、井上麻衣が悪びれないで平気で複数の中年男の愛人になり、その都度相手をパパと呼ぶが、それが実父の鶴田をパパと呼ぶのとなんら変わらない等価な感じになって終わっていくところは中々意味深である。

 実父の姿まで映っているAVを出し、父の愛人・美野と同じ愛人バンクに登録している井上というのも皮肉だが、最後は80年代の表層と正反対な深層の二重構造があっけらかんと日常に剥き出しになっていた時代の空虚な不気味さが漂って映画は終わっていく。

 ロマンポルノの山口百恵と呼ばれた井上麻衣のあっけらかんとした悪びれないキャラがそんな時代の皮肉を描くのにピッタリな個性となっている。

 そんな中々シニカルに時代を捉えてはいる一篇。


2013/01/03(木) 13:35:45 日活 トラックバック:0 コメント(-)

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://shoheinarumi.blog18.fc2.com/tb.php/1208-d79f4e3b