0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「天使の欲望」

 関本郁夫「天使の欲望」何度目かの再見、

 看護婦の結城しのぶと有明祥子は東北出身の姉妹だが、結城は医師と関係を結んでおり、看護婦として出世していた。

 ある時結城は入院患者の与志沢健に襲われるが、すれかっらしの結城は特にショックを受けることもなかった。

 しかし妹・有明と実家に帰ると佐々木すみ江の母に嫉妬まじりのことを言われ、おまけに佐々木の新しい男で義父になった三上寛に襲われ、すんでところを妹に救われるも、母は結城に夫を取られたと思ってなじり、娘二人を追い出してしまう。

 結城はそのことが辛かったが、妹はこの姉と一緒に何とかやっていこうと思う。




 

 今やドロドロ昼ドラのカリスマ脚本家のようになった中島丈博脚本の姉妹のドロドロ恋愛を描いたエグイ情念的な映画。

 今の中島・昼ドラの原点とも言えるような映画だが、公開当時は自分の近所の東映館ではかかってなくて、ちょっと遠方の東映館に見に行って見事な傑作だったことが嬉しかった映画である。

 結城しのぶは当時松田優作他の東映セントラルアーツ系の映画やドラマによくいい味の悪女役で出ていたが、この映画では堂々主役を張ってお得意の悪女な姉役を好演しており、徐々に仲のよかった妹との男を巡る確執のドロドロドラマが展開していく。

 その展開の過剰さは後の中島・昼ドラに引き継がれているといえばそうだが、やはり監督が関本郁夫なので、そこに女のたくましい生き様やパワフルさがガンガン加味されていて、これは見事なタッグの映画と言える。

 またこの映画が公開された当時はもう終焉を迎えていたような、東映ポルノの最期の仇花的な味がある。

 関本郁夫はその手の映画をよく撮っていたが、「処女監禁」に主演した三崎奈美がチョロっと出ていたり、東てる美がゲスト的に出ていたりするところにもそんな感じが出ているし、姉妹が争う男役をかっての若松孝二映画の常連・与志沢(吉沢)健が演じているところにもそれが感じられる。

 言わばささくれだった終わってしまった東映ポルノと後の中島・ドロドロ昼ドラの合間にいるような微妙な位置にある映画だが、その微妙な影に隠れた位置がまた意味深で、これは当時からそんな隠れた傑作だった。

 暴れ回る結城や有明のハードな熱演、バイセクシャルの結城の見合い相手との関係、そして仲の良かった姉妹が徐々に情念と嫉妬と怒りと不幸から憎しみ合い殺し合うようになっていく展開の醍醐味とエグイ描写の連続にかなり魅力がある。

 そんな色褪せない傑作映画である一篇。


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2012/12/26(水) 14:16:55 東映 トラックバック:0 コメント(-)

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